「花筏[はないかだ]」という言葉を知っているだろうか。散った無数の桜の花びらが寄り添って水面[みなも]を流れる様をいう。確か春の季語だった。ソメイヨシノの開花を迎えるこの時季になると思い出す

 ▼花筏を実際に見たのは松崎町にある支局に勤務していた時だった。同町那賀の「田んぼを使った花畑」と県道を挟んでソメイヨシノの桜並木が那賀川に沿って植えられている

 ▼例年3月下旬から4月初旬にぱっと咲き、一斉に散る。花吹雪の見事さもさることながら川だまりで水面に円を描くような動きを見せる無数の桜の花びらが今でも目に浮かぶ

 ▼雪に覆われたような満開や散り際の花吹雪は伊豆各所で見ることができたが、機会がなかったのか花筏はいまだに同所でしかお目にかかったことがない。散った花びらだけに、はかなげで少し寂しい気持ちになるが、童心に帰ったようにいつまでも目で追ってしまう

 ▼きょうは県議選告示日。強引に桜と結び付けると、受験とは様相が異なるだろうが「桜咲く」「桜散る」の世界だ。合否は有権者が判定する。この時季の桜のように候補者は多くの目にさらされる。どうか候補者のアピールする政策や主張の“見事さ”を桜同様、目に焼き付け、採点してほしい。