伊豆地区に住んでいると四季を景観から感じる機会が多い。この時季ならば山桜か。霧が掛かったように山がかすむ。通勤途中にこいのぼりを見掛けるようになるのもこの季節だ。初めての子どもか、それとも孫を授かったのか―。端午の節句を迎え喜ぶ家族の姿を勝手に想像してしまう

 ▼こいのぼりと言えば、てっきり平安時代や鎌倉時代ごろからの古い風習だと思っていた。調べてみると、江戸時代の武士の風習に対抗して庶民が発展させた、と載っていた

 ▼江戸時代は身分制度に縛られた封建社会というイメージがつきまとう。一方で文化という「庶民の力」が一斉に芽吹き、明治へとつなぐ土壌形成の時期だったのかと、こいのぼりを見ていて考えた

 ▼江戸から明治というと、政治形態ががらりと変化した時代とも言える。幕府という“一党独裁”から条件付きながら国民が参政権を得て、複数の政党も誕生した。庶民の政治への関心が高まった。明治、大正、昭和、戦後を経た延長線上に、平成の今がある

 ▼来週、伊豆地区でも平成最後の市議選、町議選が告示される。市議は三島、熱海、下田。町議は函南、東伊豆、松崎。こいのぼりからさらに選挙という「庶民の力」の証しを連想した。