開国の町・下田市の「黒船祭」(17~19日)が近づいてきた。今年は80回の節目で、静岡デスティネーションキャンペーンのメイン行事の一つに位置付けられ、例年より盛大に開催される

 ▼黒船祭は1934(昭和9)年、ペリー来航80周年を記念して始まった。その時の様子は、どんなだったのか。66(昭和41)年の本紙に、第1回当時の観光協会副会長で、後に下田町長を務めた鈴木貞雄氏の思い出が載っている

 ▼「第1回は昭和9年4月20日から5月3日まで14日間の長い祭で、式典は一日、催しも散発的でした。行事の一つに櫓舟競争というのがあり、沿岸各町村から舟をもってきて下田の河岸から犬走島を回ってくるという勇ましいものでした」

 ▼鈴木氏は、その10年前に来訪し黒船祭の端緒となった米国のバンクロフト駐日大使の手紙も紹介している。「玉泉寺でペリー艦隊の水兵らが手厚く葬られているが、もし米国に外国人の墓があり、それが著名人であっても、日本人が米国水兵に捧[ささ]げるほどの弔意を表せるか疑わしい」と

 ▼黒船祭は、伊豆で最も伝統ある観光イベントであるとともに、国内有数の日米交流イベントである。戦禍を乗り越え、伊豆の小さな都市で連綿と続いていることを誇りに思う。