「これ、どこの写真?」「お祭りの時の写真?」−。平成最後、4月30日付の伊豆新聞、熱海新聞「フィルムカメラが捉えた昭和から平成の伊豆」に載った「昭和の伊東市街地」の写真を見て、若い社員が発した言葉だ。現在とはあまりにも違うにぎわいに、思わず出たのだろう

 ▼昭和50年代、同市の中心にある屋根付き商店街「キネマ通り」で、ある夜の様子を捉えた写真。夕食を済ませた大勢の観光客が、旅館の浴衣を着て下駄を鳴らして闊歩[かっぽ]し、遊技場でスマートボールを楽しむ人たちも。イベント時ではなく当時は毎夜、こんな光景が見られた

 ▼同連載の4月25日付は、同40年代に撮影した夜の熱海銀座通り、また伊豆日日新聞に連載の「昭和の田方」3月14日付は、新婚旅行客であふれる伊豆箱根鉄道修善寺駅前の写真だった

 ▼平成生まれの若者は、好景気を知らずに育った。シャッターばかりの商店街を見続けてきたのだから、身近な場所の昔の様子に驚くのも無理はない

 ▼熱海市は近年、V字回復し熱海駅前の商店街などににぎわいが戻った。しかし、夜はどうかというと、下駄の音が響くような昭和の盛況ぶりはない。令和に再ブレークしても、われわれの想像とは違うのかもしれない。