泥仕合とはこのことだろう。熱海市で昨年開催された熱海国際映画祭の多額の債務に端を発した斉藤栄市長と、映画祭企画・運営会社「フォーカス」の髪林孝司氏の対立はメディアを介して拡散し、世間の耳目を集める内紛劇に発展した

 ▼両者の主張を整理すると▽実行委が再集計して20日に公表した1465万円に上る債務処理の責任所在▽実行委の決議なく市長が下した髪林氏の代表解任の是非▽双方がそれぞれ開催するという第2回映画祭の実現性―の3点が主な論点か

 ▼債務処理と代表解任は「言った」「言わない」の主張も多く、第三者機関を介した裁定が必要になるかもしれない。開幕まで1カ月を切った第2回映画祭については時間、資金面で実現性に疑問符が付くし、現状では開催意義さえ問われている

 ▼関係者が口をつぐむ昨年の決算概要の虚偽記載、債務返済に愛媛国際映画祭の資金が流用されていた疑いも浮上した。税金を投入した事業の決算に虚偽があれば、納税者である市民にうその報告をしたことに他ならない。早急な真相究明が求められる

 ▼一連の騒動を熱海に夢を託した世界の映画製作者はどう見ているのだろう。キャッチフレーズに掲げた「才能に光を」の看板が泣いている。