0212梅まつり将棋盤面

 ■・石田豪成(熱海市) □・佐野牧男(静岡市) 自戦記/石田豪成

 ・分岐点

 2017(平成29)年1月15日。大寒波の中での梅まつり将棋大会である。雪こそ降らないが、寒気が頬を刺す朝だった。

 佐野牧男さんは60歳。退職して自由の身である。静岡から熱海の菊地道場まで遠征してくるほどの、将棋にあついお人である。

 第1図までは両者ノータイムで進んできた。ここに来て佐野さんの手が止まっている。□8六歩を決行すべきか否かを考えているのだ。一局の大きな分岐点だからである。私も、当然それを覚悟していた。意外にも佐野さんの着手は□3三銀だった。私はほっとする思いで■8八飛と回ったのだが□8六歩を決行すればどうなったか? その変化を並べてみよう。

 □8六歩■同歩□同角■8八飛□7七角成■8二飛成□6七馬■8一龍□9二角打の痛打がある。変化図。以下■4一龍□同銀■3一飛と打って勝負形を造る。佐野さんはこの変化を嫌ったのだろう。□3三銀と自重した。重厚な一手で、以下は小駒を中心とした玉頭戦となった。注=作図上、先後入れ替えてあります。

 ・2016年の将棋界

 振り返れば、まず思い出されるのは佐藤天彦、若き新名人の誕生である。次は藤井聡太少年の鮮烈なプロデビューである。お二人とも、明日の将棋界に大輪の花を咲かせることだろう。第3は、三浦弘行九段のソフト使用の対局中のカンニング疑惑である。

 日将連は3人の外部委員に検証を依頼した。その結果は、白と断定されて三浦九段の名誉は回復された。しかし、である。この出来事は、“時代の申し子”として、生まれるべくして生まれてしまった側面を持っている。

 目を転じて熱海将棋界ではどんな出来事があったのだろうか。日将連熱海支部長の原芳久さんの長年の地元将棋界への尽力を、日将連が表彰してその労に報いたことである。若い頃は、闘う支部長として活躍して、伊豆名人戦に2度優勝を果たしている。慶賀この上ない出来事だった。

 【図版】第1図(黒6七銀まで)

 【図版】変化図(白6七馬まで)