カップ酒のビンでいい気分

 砂地の海底を移動していると、ビンが目についた。近づくと中からタコが顔を出していた。テレビのコマーシャルで流れていた「ワンカップ大関」の酒ビンのようだ。タコは胴長10センチほどで、体の表面はイボで覆われ、両眼に角ばった暗色班とそれを縁どる白ラインが入っているので、その特徴的な姿からスナダコと分かった。

 カップ酒メーカーにしてみると、まさか飲み終えた自社の空ビンが、海の底でタコに利用されているとは想像もしていないだろう。今の時代「物を大切にしよう」とあちこちで叫ばれている。趣旨は違うかもしれないが、酒ビンも有り難いことだ。タコつぼに入ったりする習性がある彼らにすれば、ビンの大きさが体のサイズにピッタリ。

 海の生き物はけなげだなあと思うところと、反面、したたかさを感じ、敬服してしまう。海にごみを捨てるなど、とんでもないことだと思っていたが、こんな現実を知ってしまうと、もうどうでもいいのかと自信をなくしてしまった。

 【写説】カップ酒のビンでいい気分