「字は一生の宝物だよ」。幼い私に語りかけた母の声が心に残っています。数十年が流れ、私は娘の久子と力を合わせ、真珠院書道教室で子どもたちや大人と習字を勉強しています。

 入門される生徒にはまず「履物をきちんとそろえて教室に入りましょう」「あいさつは笑顔で、大きな声で」と約束し、それから生徒の顔色を見ます。そして少しずつ書の世界に導いていきます。練習の後半は余白とのバランスを考えながら、諦めない“あと1枚”を求めてお手本の課題を追求していきます。

 「私にも筆を貸して!」と、よく私の筆を横取りしていた孫の陽向が5年生になり、MOA美術館全国児童作品展で国内外46万2千点の作品から5年生書写の部で頂点に立ちました。今、改めて生徒たちの活躍と朗報を聞くたび、私の胸は幸せ感でいっぱいになります。書道は私の心を癒やしてくれます。書は私の人生の宝物になりました。