錯誤・三つに分類

 前回は、強迫や詐欺により契約をしてしまった場合、契約を取り消すことで、代金の支払いを拒むことや、代金の返還を求めることが可能であることを見ました。

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 だまされたり(詐欺)、強く迫られて(強迫)契約してはいないけれど、高齢者の方が勘違いで契約をしてしまった場合、代金の支払いを拒む方法は何かないでしょうか。

 勘違いしたまま契約をしてしまったような場合、錯誤による契約の無効を主張できる可能性があります(民法95条)。

 錯誤は、(1)1万円と言うところを10万円と言ってしまった(表示上の錯誤)(2)100円で買うつもりが、100ドルと100円が同価値と勘違いし、100ドルと表示してしまった(内容の錯誤)(3)値上がりすると思って買った土地が値上がりしなかった(動機の錯誤)の三つに分類するのが一般的です。

 このうち(3)動機の錯誤の場合、原則は錯誤無効にならないものの、動機が表示されて意思表示の内容になっていれば、錯誤無効を主張できるとするのが判例です。

 また、錯誤が法律行為の要素についてなければ、無効になりません。法律行為の「要素」とは、その錯誤が意思表示の重要な部分に関わるもので、かつ、その錯誤がなければ意思表示をしなかったであろうことを言います。

(小田原市・伊奈綜合法律事務所、伊豆の国市出身)