今、熱海では「林業」を推進している。観光地熱海として、森林を皆伐するのではなく、森林所有者や地域の方が自ら間伐施業し、良好な森づくりと持続的な収入を得る自立・自営の山守型の林業=「自伐型林業」の推進である。

 熱海で林業とは異な事を−と思う方も多いと思うが、熱海市の総面積の約63%が森林である。その森林面積の約40%はヒノキを主体とした人工林であり、資源としても成熟期を迎えている。熱海の森林は、立派な地域資源なのである。

 かく言う自分も、全くそのような視点はなかったが、とあるご縁で、高知県の自伐林家の森を見て、話を伺う機会を得て、森を見る目が変わった。そこには、IターンやUターン、地域の若者が活(い)き活きと間伐施業し、観光業と兼業しつつ、地域の森から生活の糧を得ている姿があった。

 熱海市においても、人材難などにより多くの手入れできない森林がある。自伐型林業を推進し、良好な森林づくりと森から収入を得る取り組みを進め、林業という新たな産業を生み出し、地域の就労機会の創出の一助となればと考えている。加えて、都市部からの移住を伴う就労や基幹産業である観光関連産業との兼業など新たな働き方のモデルづくり、林業体験や地場産品等の観光資源としての活用、薪エネルギーの活用など、課題も多く、時間はかかると思うが、大きな広がりがあるものと考えている。

 昨年秋から、担い手育成のため自伐型林業研修を実施し、市内外から約20人が参加した。そして、研修参加者を主体に市内森林での施業に向けた具体的な動きが始まっている。今年度も自伐型林業研修を行う予定である。地域資源を活用した新たな産業を生み出す取り組みは歩み始めたばかりである。

(熱海市、副市長)