地磯でイカ狙い。釣り糸の先ではアジが泳いでいる=南伊豆町の中木

 サビキ釣り、トリック仕掛けでの小サバ、小アジが釣れ始めた。手軽に楽しめるとあって、休日の港は家族連れなどでにぎわっている。

 南伊豆町の妻良港では11日、下田市の増田憲一さん(67)が、サビキ釣りでサバ、アジの数釣りを楽しんだ。サビキ釣りのほか夏から秋には下田港の福浦、犬走堤防のカゴ釣りで青物も狙う。

 ポイントは同港左奥にある新堤防手前の岸壁に入った。さおは5・4メートルの万能延べざお、道糸2号。スキンサビキ仕掛けで幹糸1号、ハリス0・6号、針4号の6本針。仕掛けの上にコマセ袋を付けた上カゴ式。重りはナス形の3号を付けた。

 釣り方はコマセ袋にアミを半分ほど入れ、岸壁足元に仕掛けを沈める。タナ1~2メートルでコマセ袋を振り、アミをまいて魚を誘う。ほどなく仕掛けの周りに魚影が見え、小サバが釣れ始めた。大きさはは10~15センチが中心で、午後1時すぎから10センチ前後のアジが交じり始めた。夕方からアジが多くなるという。

 釣果はサバが40匹以上、アジが20匹ほどだった。増田さんは「ここは車を目の前に止められ、食事をしながらのんびり楽しめる。魚は唐揚げにしたい」と笑顔で話した。

 ■河口付近探り5匹 西伊豆町大浜海岸、投げ釣りシロギス

 投げ釣りのシロギスが上向いてきた。水温の上昇と共に伊豆各地で釣果が出始めた。

 千葉県習志野市から訪れた会社員の岩井研二さん(44)は10日、西伊豆町仁科の大浜海岸でシロギスを狙った。投げ釣りをメーンに楽しんでおり、房総方面に足を運んでいる。伊豆半島は初めての釣行だ。

 タックルはさおがシマノ・サーフランダー4・05メートルで重り負荷25号、リールはダイワ・ウインドキャスト4000、道糸はPE1号。市販のキス仕掛けで幹糸2号、ハリス0・8号、針6号の3本針、重りは片てんびんの25号を使った。餌はアオイソメで、餌付けは2センチほどに切り、針から1センチほど垂らした。

 この日は西風が強く、濁りが入った状態。比較的濁りのない仁科川の河口付近に入った。釣り方は80~90メートル投げ、仕掛けが着底したらゆっくり糸を巻きながら探っていく。

 アタリは多いが小型が多いようで、なかなか針掛かりしない。アタリがあったポイントで仕掛けを止め、待つと小型ながら小気味いい引きで本命が釣れた。

 釣果は午前10時から始め、2時間ほどで15センチ級が5匹。岩井さんは「なんとか釣れて良かった。伊豆は景色が良くて最高」と話した。

 ■20日から初心者アユ釣り教室 河津川漁協

 河津町の河津川漁協は20日~7月20日まで「初心者のアユ友釣り教室」を開く。午前10時~正午までアユの習性、釣具、釣り方について講義し、午後1~3時まで河津中前の釣り場で実際に釣る。講師は同漁協役員と組合員が行う。参加費は5千円、町観光協会加盟宿の宿泊者は3千円(入漁料、オトリ2匹含む)。さお、仕掛け、たも網、オトリ缶は漁協で用意する。長靴、持ち帰り用の容器は持参する。申し込み、問い合わせは同観光協会〈電0558(32)0290〉へ。

 ■へぼ釣り師が行く!(20)=粘って釣った魚は特別 経済原則では得られぬ感動

 「釣りは、糸の両端に魚と愚か者を結び付けたものである」―。釣りを表した古い格言である。愚か者呼ばわりされて、多くの釣り人はムッとされるかもしれない。しかし、魚をゲットするだけならば近くのスーパーで買ってくれば済むところを、丸1日かけるのだから、釣りの経済的な効率性は非常に悪い。経済原則からすれば、釣り人は愚かなことを、繰り返しているのかもしれない。

 5月21日午後、アオリイカを狙って下田市内の釣具店で活(い)きアジを購入して、妻良(南伊豆町)の防波堤に行った。ここはヤエンでイカを狙う人気スポットで、遠くから足を運ぶ人も多い。隣で釣り座を構えていた男性は富士市から来た方だった。

 釣りの準備をしながら「きょうはどんなあんばいですか」と尋ねると、「朝から釣っているけど、アタリが一つもない。手間を掛けてアジを放流しているだけさ」と、力のない返事。既に午後3時を回っていたので、この男性は8時間以上、折りたたみ椅子に座って、海を眺めていたことになる。

 ヤエン釣りでは、餌となるアジを投入して、それを見つけたイカが抱き付くのをひたすら待つ。アジが弱ってきたら新しいアジに取り換えて、古いアジを海に帰す。以下、その繰り返しである。アジは1時間程度で交換するので、イカが掛からなければ、購入したアジを1時間に1匹のペースで放流している計算になる。実に効率の悪い作業ではないか。

 これからの季節に本番を迎えるサバ、ワカシ、ソウダガツオなどの回遊魚は、コマセをカゴに詰めて魚が通りそうな所に放り込んで釣る。コマセがなくなれば、再びコマセを詰めて投入する。以下、その繰り返しである。

 アタリがないときは、「きょうはなぜ釣れないのだろうか」と自問自答する。浮き下を調整したり、針を替えたり、さまざまなことを試す。状況によっては隣の人に教えを乞う。それでも釣れなければ、やっている行為は1個数百円で買ってきたコマセブロックを、半日かけて海にまいているだけとなる。

 最初の1匹が釣れるまでの時間、プロセスは実にしんどい。経済的にみると、釣りは全く割に合わない作業である。サバを得る目的だけならば、スーパーで買ってくる方がはるかに手っ取り早い。

 しかし最初の1匹が掛かれば、それまでの苦労は一瞬で吹き飛ぶ。糸の先に掛かった魚との、ぐいぐいとしたスリリングなやり取りが待っている。ようやく手にした魚は、苦労したというプロセスがたっぷり詰まっているので、スーパーに並んでいる魚とは違う特別の存在であり、釣り人の心は甘美な充足感で満たされる。

 そして日が変われば、甘美な思い出しか残っていないので、再び釣りに行く。一瞬で苦労を忘れてしまうという意味でも、釣り人は愚か者かもしれない。

 話を妻良に戻そう。富士市から来た男性の名誉のために補足すると、夕焼けが広がる時間になって、ようやく1匹釣り上げることができた。彼は「朝から粘ったかいがありました」と、満面の笑みを浮かべた。

 (西伊豆町、団体職員・地尾信幸)

 【写説】小アジ釣りを楽しんだ増田さん=南伊豆町の妻良港

 【写説】本命のシロギスを手にする岩井さん=西伊豆町仁科の大浜海岸

 【写説】地磯でイカ狙い。釣り糸の先ではアジが泳いでいる=南伊豆町の中木

 【図説】伊豆の釣り情報

 【図説】伊豆の潮時表