ウミトサカ

 ウミトサカは下方の柄部と、羽状突起をもつ上方の冠部からなり、群体が柔らかいのでソフトコーラルと呼ばれている。ポリプの中に海水を吸い込み、膨らむことによって岩の上に立ち上がることができる。立ち上がった群体は、水を吐き出して縮むこともできる。こうして獲得した群体の伸縮能力は、波の荒いときには縮んで抵抗を減らし、波の穏やかなときには群体を大きく展開して流れてくるプランクトンなどの餌を取ることを可能にしている。カラフルな色彩を誇り、足盤でしっかりと岩などに固着し、柔軟で力強い生命力を発揮して海底を彩っている。

 ところが写真の彼らは、漁のロープの先に付くブイを岩がわりの土台にして繁殖している。彼らは本来、岩礁に固着して生活する生物だが、岩の表面は早い者勝ちの過当競争になり、海中の浮遊物に目を付けたのだろうか。潮流にのってくる餌もあるので、これも生きのびるための知恵を働かせた強(したた)かな戦略なのかもしれない。