7月に入り、熱海駅のホームでも夕刻になると来宮神社例大祭に向けたお囃子(はやし)練習の音色が聞こえ、心躍る思いでした。同時に、こうした伝統行事が脈々と受け継がれている熱海という土地に、改めて深い感銘を覚えます。

 知人に熱海について尋ねると、温泉や海、地魚などの食を挙げる方は多いのですが、お祭りや芸妓(げいぎ)などの伝統文化についてはあまり知られていないようです。熱海の魅力はさまざまですが、私にはこの地に根差した歴史・文化はとても輝いて見えます。

 鉄道会社の使命は言うまでもなく、安全で安心して利用いただける輸送サービスをご提供することですが、加えて、その土地の歴史や文化、自然・景観、食などの魅力を鉄道ネットワークを生かして広く発信し、多くの方に足を運んでいただき地域を元気にすること、これも大事な役割です。

 多くの方に熱海の魅力を紹介したいとの思いから、熱海駅改札口に観光情報を発信するコーナーを作りました。現在は花火の模型を展示し、熱海海上花火大会をさらにお楽みいただける工夫をしています。今後も継続して熱海や伊豆の魅力を発信していきたいと考えています。

 7月16日、伊豆クレイルが運行1周年を迎えました。伊豆クレイルは、伊豆の景色を眺めながら、伊豆食材をメインとしたお食事を、車内でお楽しみいただく伊豆の魅力満載のリゾート列車です。1周年にあたる日が来宮神社例大祭と重なったご縁で、熱海駅到着に合わせホームで天狗(てんぐ)様にこがしをまいていただきました。今年も1年、事故なく無病息災で過ごせますよう、私も願いを込めて、お見送りしました。

 地域あってこその駅であり鉄道です。これからも熱海の一員として、みなさまと一緒に地域を盛り上げていくことに尽力していきたいと思います。