心を込めて手作りした和菓子が並ぶ「わかなや」=熱海市中央町

 ■原料、製法変えず手作り 幼少の昭和天皇 草もち お気に召す

 創業時からの「草もち」「糸切りだんご」に加え、誕生から今年で90年を迎え、熱海ブランドにも認定された「きびもち」が名物。市役所が建つ前にあった熱海御用邸に唯一出入りを許可された和菓子店で、避寒のために御用邸を訪れた幼少の昭和天皇、秩父宮、高松宮両殿下が草もちをお気に召した―というエピソードも残る。

 店の歴史を「誇り」と受け止め、4代目の長男・光久さん(52)と共に今も菓子を作り、店頭に立つ。「7割方は地元のお客さまで、近隣市町や東京、神奈川にもお得意さまがいる。2代、3代と続けて買い求めてくれる方もいて商売人冥利(みょうり)に尽きる」とほほ笑む。

 草もちなどは防腐剤を入れないため日持ちがせず、店での限定販売だが「日持ちをよくするよりも味のバランスを大事にしている」ときっぱり。移りゆく時代の中でも家訓が生きる。

 1905(明治38)年創業の老舗和菓子店「わかなや」=熱海市中央町=は、家訓「欲を出すと味が落ちる」を守り、原料も製法も変えずに伝統の味を守る。3代目店主の竜見和男さん(82)は「国産の厳選した材料で、心を込めて手づくりに徹している」と言葉に力を込める。

 【写説】心を込めて手作りした和菓子が並ぶ「わかなや」=熱海市中央町