吐血の局、後方は局面の解説と丈和の訓戒

 黒−西島信也(伊豆本因坊)(二子) 白−金子真季(日本棋院棋士初段) 観戦記−宗像克典(日本棋院伊豆支部長)

 先週紹介した記念碑には丈和の三妙手で有名な「吐血の局」も刻まれています。丈和がAI碁と対局したらどのように対応したでしょうか。

 局面に戻ります。さすがはプロ、黒のほんのちょっとのほころびを逃しません。白9以下するするとワタってしまいました。地も大きかったので先譜黒100では50に受けて生かす方が良かったようです。

     ◇……………………◇

 それでも46に守れば黒よしと大盤解説で太田さんが指摘したとき、18以下が発生。黒22は無理気味なので24に打ち二子は捨て、黒34では(イ)、白(ロ)、黒46で形勢は黒よしです。

 実戦は4子取りや26下キリが残り黒不満です。黒は46ではなく34としたため、白35や懸案の白37がきて右辺が複雑化しました。

 コウ材はお互い豊富ですが、黒48では76アテのほうが厳しかったと金子プロ。黒54はコウ材を相手に増やすので60ツギが良かったとも指摘。この後、白は右辺を生きて細かい局面になり、最後は白2目勝ちとなりました。西島さんに勝機はたくさんあったのですが残念な結果となりました。

 伊豆囲碁界は21日の伊東市新春、来月25日熱海梅まつりと大会が開催され、春を迎えます。今年も伊豆半島各地でこうした大会が行われることでしょう。みなさんとお会いし対局できることを楽しみにしております。本年もよろしくお願いします。

 【写説】吐血の局、後方は局面の解説と丈和の訓戒

 【図版】第3譜(102~177以下略)

     ◇……………………◇

 ■−西山嵩人(伊豆名人) □−渡部愛(女流二段) 自戦記−西山嵩人

 ここまでの形勢は先手有利だとは思うのですが、こちらも綱渡りでしのいでいる状態なので実戦的にはむしろ勝ちづらいと考えていました。

 (指始図より)実戦は■7二飛でしたが、■7一飛も有力でした。以下、□5一歩■7三飛成□4二銀と駒を使わせてから■5九角や2八飛で面倒を見る指し方の方が良かったかもしれません。

 ■7二飛□5二歩に■3五歩はさすがに焦りすぎました。実戦は□4三銀でしたが、□同金の方が良かったと思います。■2二歩や2四歩などが予定でしたが、どうもさえません。

 先手は香をとって■3四香の筋を見せますが、後手も□6六銀から攻めてきます。ただ、■7八玉に□5五角はさすがに指しすぎだと思います。代えて□5五銀が有力で、以下、■3四香□同銀■同歩□2四角■5五歩□6六香■8七玉で後手の攻めを余す展開になりそうで、これは難しいです。戻って、□5五角■同歩□6七銀打と激しく攻めますが、どうも駒が一枚足りない印象です。

 勝ちを意識したのは■8八玉と引いた局面です。後手玉は次に■2六香が■2三銀以下の詰めろに対し、先手玉は香を渡しても詰まない格好のため一手勝ちが見込めます。実戦もその詰み筋に入りました(投了図)。投了図以下は□2五香■1五金□2三玉■2五飛□1二玉■1一角成□同玉■2一竜が一例で詰みです。

 対局後に打ち上げが行われ、私も参加させていただきました。乾杯の前に一言求められたのですが、頭が真っ白になって自分でも何を言ったのか思い出せません。将棋に限らず、今後はこういった場に慣れないといけないと感じました。と、いうことで、この場を借りて改めてお礼申し上げます。今回は貴重な体験をさせていただきありがとうございました。

■7二飛打 □5二歩打

■3五歩打 □4三銀

■7一飛成 □3二玉

■2五歩打 □同金

■9一龍  □3六歩打

■4八角  □6六銀打

■7八玉  □5五角

■同歩   □6七銀打 

■8七玉  □8五歩打

■2八香打 □8六歩

■同玉   □8五金打

■8七玉  □2六歩打

■8八玉  □7六金

■2六香  □8五桂

■2三銀打 □3三玉

■2二角打 □2三玉

■2五香  □2四歩打

■同香   □同玉

■2八飛(投了図)

 【図版】指始図(白5三金から)

 【図版】投了図(黒2八飛から)