第48回按針祭囲碁大会 Aクラス決勝(中)第2譜(49~93)

 ■黒・高橋正顕六段(東京都) 白・新城良則六段(伊東市) 自戦記/高橋正顕

 ここ数年の囲碁界の大きなトピックとして、コンピューターが人間よりも強くなった、ということが挙げられます。コンピューターは固定観念が無いためか、人間の発想に無かった新しい手をいくつも提示しており、現在は人間がそれを学んでいる最中、ということが言えます。

 その代表格が黒49の単三々です。正直私のレベルではこの手の良さも、この後の変化も良く分かっていないので見よう見まね、という段階ですが、形勢を悲観していたこともあり、思い切ってやってみよう、と思いました。

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 そんな訳で着手の詳しい説明はできないのですが、黒がやりたいことは、「白58まで先手で隅を生きて、黒59の割り打ちに向かう。そして、黒61のノゾキから右下の白の壁を攻める」という事です。

 実戦は白80まで、まずまず白の壁を攻めながら左辺で地を持って治まる事に成功しました。代償として中央の黒二子は白地にのみ込まれましたが、黒81で黒5の二に回れば、細かいながら地合いは黒が良さそうです。

 黒81、83はさほど深く考えて打ったわけではありません。黒5の二に回る前に、白72の一子を先手で取れれば、左辺黒が強くなり安心、という程度だったのですが、白84、86と頑強に抵抗してこられました。勢い黒93まで遮断して、左下白の生死をかけた大捕物が始まりました。と同時に、下辺の黒が強くなったことで、白15の十六に対して、黒14の十五とつながる必要がなくなり、右辺の白一子を逃げ出す手がなくなった事が大きく、ここで形勢はやや黒に傾きました。

 大会会場の伊東市役所8階は今回初めて伺いましたが、伊東市街を一望できる素晴らしいロケーションでした。見慣れたはずの伊東の街と海は、市役所からの初めて見る角度で一層美しく見えました。本局は当日の4局目で疲労もピークでしたが、対局の都度美しい景色を眺めてリフレッシュできたことが、一日戦い抜けた要因かなと考えています。

 【図版】第2譜(49~93)