「忘れない東北」の張り紙や気仙沼の様子を紹介する写真を前に語る小川さん=竹の内の小川商店

 ■今も現地へ支援活動 背中押した「忘れないで」

 伊東市竹の内の小川商店の店先に貼り出された「忘れない 東北」のメッセージ。家族で営む乾物店を手伝う小川奈津美さん(32)が1年ほど前に書いた。小川さんは東日本大震災後に2年半ほど宮城県内で活動し、今もたびたび東北地方を訪れる。店先のメッセージには、復興途中の現地の人たちへの思いが詰まっている。大震災から6年目となる11日、小川さんは伊東市民劇場の集まりでその思いを語る。

 小川さんは大震災発生後、米国に本部を置くボランティア団体のスタッフとして宮城県気仙沼市で活動した。得意の英語を生かし、米国人スタッフと被災者とのコーディネートにあたった。その後1年間仙台市の幼稚園で働き、13年9月に実家に帰ってきた。現在は年に3、4回、東北地方に足を運び、復興を見守り続けている。

 市民劇場の集まりでは、写真を見せながら現地の様子を紹介する予定。しかし最初に声を掛けられた時は、「すぐに『はい』とは言えなかった」という。「被災者でもなく、防災の専門家でもない。そんな自分が大震災を語っていいのか悩んだ」。そんな小川さんの背中を押したのは、現地の知人の一言だった。

 昨年、気仙沼市の自宅で英会話教室を開く女性の元を訪れた時のこと。「いろいろと話す中、『忘れてほしくない』とぽつりとつぶやいた。その一言を思い出し、自分にできることをやろうと決意した」

 11日は、桜木町のひぐらし会館で開かれる伊東市民劇場の公演に合わせ、午後1時半から30分程度講話する。被災地の今の様子や現地での活動を通じて学んだことなどを語る。

 【写説】「忘れない東北」の張り紙や気仙沼の様子を紹介する写真を前に語る小川さん=竹の内の小川商店