■伊豆地区、進まぬ耐震化 県想定、建物2割が全壊・焼失

 東日本大震災から11日で丸6年となる。地震の規模を示すマグニチュード(M)が9という巨大地震が発生した後、襲来した大津波は“スーパー堤防”を乗り越え、住宅地をのみ込んで多くの人命を奪った。津波の恐ろしさが一気にクローズアップされたことで、県内でも県や市町が最優先課題としてハード、ソフトの両面で、津波対策を進めてきた。半面、地震への備えがおろそかになっている印象は否めない。津波からの避難の前に、まず考えるべきは建物の安全だ。地震から生命を守るために、改めて建物の倒壊や家具の転倒を防止するなど、地震への備えをしっかりと見直すことが大事だ。

 県が2013年6月に発表した第4次地震被害想定(1次報告)によると、駿河トラフ・南海トラフ沿いで起きるレベル2(L2、千~数千年に1度と発生頻度は極めて低いが甚大な被害をもたらす)地震では、震度6強~5弱の揺れが伊豆地区を襲う。県内建物の被害は最悪の場合、約2割が全壊・焼失と想定する。15年1月に県が発表した相模トラフ沿いの最大クラスの地震(L2)はM8・7とされ、伊豆地区の一部は揺れが震度6強となる。

 ■下田市 津波浸水区域“無駄な補強”

 最新の伊豆地区の木造住宅耐震化率は、大震災前と比べてそれほど大きな変化は見られず、あまり耐震化が進んでいない現状がうかがえる。県内市町でも最低レベルとされる下田市。建設課の担当者は、耐震化率が向上しない理由を▽津波浸水区域内に多くの住民が住み「津波で流されてしまう住宅にお金をかけてもしょうがない」との意識が根強い▽浸水区域外でも、その家に住む後継者がいない高齢者世帯が多い▽借地で、背後の山が崩れるかもしれず建物だけ補強しても無駄−などと分析する。

 ■熱海・伊東市 無料診断PR周知、徹底に力

 耐震化率の向上は各市町も重要と考えており、熱海市は無料耐震診断のPRに力を入れ、補助制度の活用も訴える。市の担当者は「市内は住宅密集地や傾斜地も多く、まず耐震診断で安全性を確認してほしい」と呼び掛ける。伊東市の担当課も「耐震化の必要性を市民に周知、徹底するしかない」とPRに力を注ぐ。

 ■県 熊本被害踏まえ工事費補助増額

 県は16年4月の熊本地震の木造住宅の被害状況を踏まえ、耐震補強のPRをしてくれる木造住宅に耐震補強工事の補助額を最大30万円増額する制度拡充を県内市町で実施。工事期間中に耐震補強工事のPR看板を外部から見える位置に設置することを必須要件とし、これに選択要件である▽工事期間中に現場見学会▽工事完成後に完成見学会▽工事完成後に住宅所有者が耐震補強工事に至った経緯を記した文書・補強後の住宅写真の提出−のいずれか一つ以上が必要となる。対象は1981年5月以前に建築された木造住宅で耐震診断の結果、評点が1・0未満、適用期間は18年3月まで。申請受け付けは各市町で行っている。

 【図表】伊豆地区の木造住宅耐震化率