■「被告以外の車 駐車場に」 新たに開示、証拠示す

 伊東市八幡野の干物店「八八ひもの」で社長ら2人を殺害して金を奪ったとして強盗殺人の罪に問われ、一審・静岡地裁沼津支部の裁判員裁判で死刑判決を受けた元従業員の無職肥田公明被告(65)=同市大原=の控訴審初公判が17日、東京高裁(大島隆明裁判長)で開かれた。弁護側は新たに開示された証拠を示し、一審に続いて無罪を主張。検察側は控訴棄却を求めた。次回公判は2018年1月12日で、被告人質問が行われる予定。

 弁護側は、事実誤認などを理由に一審判決破棄を求める控訴趣意書を高裁に提出した。控訴趣意書の説明の中で「肥田被告は『八八ひもの』に立ち寄っただけで、(判決で示されたように)40分間滞在していたとは言えず、現金も持ち去っていない」と主張。「事件当日の午後7時ごろと午後9時ごろ、肥田被告の車以外の車が『八八ひもの』の駐車場で目撃されている」などと、新たに開示された捜査報告書の内容を示した。

 一審は目撃者や自白などの直接証拠がない中、検察側の示した状況証拠を大筋で認め、「被告が犯人でないとしたら、合理的に説明することができない事実関係が存在する」などとして、肥田被告に死刑を言い渡した。弁護側は一貫して無罪を主張した。

 16年11月24日の一審・裁判員裁判の判決によると、肥田被告は12年12月18日午後6~9時ごろ、「八八ひもの」で経営者清水高子さん=当時(59)と従業員小淵慶五郎さん=当時(71)を刃物で突き刺すなどして店内のプレハブ型冷凍庫に閉じ込めて殺害し、店の売上金など現金約32万円を奪った。

肥田被告、終始落ち着いた様子

 肥田被告は、濃紺のスーツに白いワイシャツ姿で控訴審初公判に臨んだ。深々と一礼して入廷し、席に着いた。証言台の前に立って裁判長から名前を尋ねられると、「肥田公明です」とはっきりとした口調で答えた。

 その後は落ち着いた様子で席に座り、時折周囲を見回すほかはほとんど身じろぎせずに裁判官と弁護士、検察官の発言に耳を傾けた。

傍聴券25枚に56人

 東京高裁で17日に開かれた肥田被告の控訴審初公判は、25枚の傍聴券に対して56人が並んだため、パソコン抽選を行った。