観測に使った特殊フィルムを回収する宮本さん=大室山山麓

 ■伊豆ジオ・代表的サイト 単成火山、構造解明に期待 「地域貢献につながれば」

 世界認定された伊豆半島ジオパークの代表的ジオサイトとして知られる伊東市の大室山の内部を透視する試験観測・調査が行われている。東京大地震研究所・高エネルギー素粒子地球物理学研究センター助教で理学博士の宮本成悟さん(37)をリーダーとするプロジェクト。今回の簡易的な試験観測で成果を得ることができれば、大規模観測に移行する計画で、これまで知られていなかった単成火山である大室山の内部構造解明が期待される。

 観測には、宇宙から降り注ぐ宇宙線から生じ、物質を通り抜けやすい性質の「ミューオン(ミュー粒子)」を利用し、エックス線写真のように内部を透視する方法を用いた。透視能力(貫通力)はエックス線の約1千倍あり、小規模な火山やピラミッドといった構造物の調査に適しているという。

 試験観測では3月に特殊なフィルムを使った小型観測装置を北、南西、西の山麓3カ所に設置、約2カ月にわたりフィルムを通過したミューオンの数や方向を測定した。今後、得られたデータを分析し、画像化する。

 観測に際しては、森島邦博・名古屋大特任助教(素粒子物理学)が技術支援したほか、小山真人・静岡大教授が地質学的サポートを行い、伊豆半島ジオパーク推進協議会の鈴木雄介専任研究員が情報提供するなど協力した。

 宮本さんは「学術的な目的だけでなく、昔から住民に愛されている大室山が詳しく分かり、地域貢献につながることにこの観測の意義がある」と話し「(研究が)火山観測方法の世界基準になることを期待している」と目を輝かせている。

 【写説】観測に使った特殊フィルムを回収する宮本さん=大室山山麓