判決言い渡し後に会見する趙主任弁護人(中央)ら=東京高裁等合同庁舎内司法記者クラブ

 ■「被告が犯人、疑いない」

 伊東市八幡野の干物店「八八ひもの」で社長ら2人を殺害して金を奪ったとして、強盗殺人の罪に問われた元従業員の無職肥田公明被告(65)の控訴審判決が30日、東京高裁で開かれた。大島隆明裁判長は、死刑を言い渡した一審・静岡地裁沼津支部の裁判員裁判判決を支持し、被告側の控訴を棄却した。

 大島裁判長は判決理由の中で「元の勤務先経営者らの命を奪ってまで、当面必要となる現金を得ようという犯行動機に酌量の余地はない」と断じ、「計画性があるとはいえないとしても、現金を強奪するために確定的殺意の下で首を刃物で切り裂き、確実に殺害するため生きたまま冷凍庫内に閉じ込めるという行為の残虐性、殺意の強固さ非情さから、被告の刑事責任は誠に重大。不合理な弁解に終始して反省の情も示しておらず、死刑を選択することはやむを得ない」と述べた。

 控訴審で弁護側は、別の犯人がいる可能性もあるとして「午後7時ごろ干物店駐車場から車が急発進して道路に出た目撃情報」「午後9時ごろ、駐車場に2台の車がライトをつけて止まっていて2人の人物がいた目撃情報」「午後9時10分ごろ、干物店2階に明かりが点灯しているドライブレコーダーの影像」などの新たな証拠を示していた。

 これについて大島裁判長は「駐車場には適度な広さがあり、休憩するために車を止めることはしばしばある。交差点をショートカットするために通過する車もある。2階の明かりが干物店のものかはっきりせず、被告がいたこともあり得る。被告が犯人であることに疑いが生じるものではない」と退けた。

 肥田被告は紺のスーツに白いワイシャツ姿で判決公判に臨んだ。深々と一礼して入廷。落ち着いた様子で席に座り、膝に手を置いて目線を落とし、ほとんど身じろぎせずに判決の言い渡しを受けた。

 2016年11月の一審判決によると、肥田被告は12年12月18日、「八八ひもの」で経営者清水高子さん=当時(59)と従業員小淵慶五郎さん=当時(71)を刃物で突き刺すなどして店内のプレハブ型冷凍庫に閉じ込めて殺害し、売上金など現金約32万円を奪った。

 ■弁護団 きょうにも上告

 控訴審判決を受け、肥田被告の弁護団は東京高裁等合同庁舎内の司法記者クラブで会見を開いた。趙誠峰・主任弁護人は「判決は全く納得できない。ただちに上告する」と述べた。早ければ31日にも、申し立ての手続きをするという。

 判決言い渡し後に面会した際、肥田被告は趙主任弁護人に「私は犯人ではない。お金を取っていないし、人も殺していない。裁判所にそのことを分かってほしい」と訴えていたという。

 【写説】判決言い渡し後に会見する趙主任弁護人(中央)ら=東京高裁等合同庁舎内司法記者クラブ