石井さんの作品「廃虚の鳩」

 東京都港区の国立新美術館で開かれている「改組新第5回日展」(公益社団法人・日展主催、文化庁、東京都後援)に伊東市から第2科・洋画で石井康博さん(66)=十足=が特選、第4科・工芸美術で仲村渉さん(63)=同=が入選した。石井さんは20回目の入選で初めて特選10点に選ばれた。応募はそれぞれ洋画が1751点、工芸美術が708点で入選は525点、429点だった。展示は25日まで。

 石井さんの「廃虚の鳩」は100号の油絵で、ハトがいるがれきの中でギターを持っている女性を描いた。「画面構成と描写力から感じられる人物の存在感」や「目に見えない物までをも感じさせる表現」が評価された。実際にモデルとハトの剥製を使って描いた。ハトの位置などを数回変え、試行錯誤したという。

 構想は昨年夏からあったという。1960年代にヒットしたグループサウンズのザ・タイガースが1968年にリリースした曲「廃虚の鳩」を参考に、平和への思いを込めた。石井さんは「ずっと気になっていた曲」と話し、事件や災害の絶えない世の中と曲のイメージを一体にして表現したという。

 石井さんは「一昨年から特選候補に選ばれるようになった。特選という目標を持ってやってきて、今回受賞できた」と喜びを語った。

 15回目の入選となる仲村さんの作品は、さなぎの持つエネルギーが発想の立体オブジェ「Serioso(セリオーソ)2」。昨年同展に入賞した作品の連作で、「制作中に生まれた前作と同じ方向のもう一つの分岐点をたどった」という。パーツごとに制作した後、溶接し緑青色に仕上げた。仲村さんは「自分の知識や経験に重なるものがあると人は安心する。答えに至るまで何か分からない不安な状態を楽しんでほしい」と語った。

 【写説】石井さんの作品「廃虚の鳩」

 【写説】仲村さんの作品「Serioso(セリオーソ)2」