テープを聴きながら「留田町えんころ節」を歌う保存会の会員=宇佐美の留田会館

 ■60年前のテープ頼りに受け継ぐ 森理事長「後世に残る文化遺産に」

 伊東市宇佐美の留田地区で古くから漁師に歌い継がれてきたが、歌える人がいなくなり、途絶えていた「留田町えんころ節」が漁師ではない地元にゆかりのある有志の手で復活した。60年以上前のテープを手本にして2年前から受け継ぎ、昨年、一昨年の祭典で披露した。昨年末には保存会(森尚正理事長、会員6人)を設立した。森理事長(66)は「若い人たちに引き継ぎ、後世にまで残る文化遺産にしたい」と話す。

 会員によると、留田町えんころ節は結婚式や船卸し、建前など祝いの場で歌われていた。1956(昭和31)年12月に録音されたテープが残っていたため、文字起こしをして練習を進めた。手拍子を打ちながら歌い、1人が「歌船頭」を務め、残りの人は「脇船頭」として時には力強く、時には弱く合いの手を入れる。歌詞には「鶴」や「亀」「神酒(みき)」「繁盛」など、祝い歌らしい言葉がちりばめられている。

 留田会館でこのほど開いた総会では、10月14、15日の祭典で留田町えんころ節を披露することや年数回程度の一般練習、祭典前の集中練習を行う−などの事業計画を決めた。総会後は練習も行った。森理事長は「時代が変わり、えんころ節を聞く機会も祭りの時だけ、それも一部の人に限られていた。漁師さんで歌える人がいなくなり、受け継いだ。どこかで発表会を開き、多くの人に聞いてもらうことが夢」と話した。

 「漁師町」だった留田で漁師の間で歌い継がれてきたが、高齢化や漁師の人数の減少で歌える人が少なくなり、年に一度の祭典で歌われるだけだった。その祭典でも3年前を最後に、漁師で歌える人が途絶えたという。

 現在の保存会の会員は50~70代。入会資格は規約で留田在住、実家が留田にある・あった、留田出身、またはえんころ節保存に関心があり、理事長が許可する人、としている。

 【写説】テープを聴きながら「留田町えんころ節」を歌う保存会の会員=伊東市宇佐美の留田会館