芸術祭の文学作品集「県民文芸」を手にする桜井さん

 県、県教育委員会、県文化協会が主催する「ふじのくに芸術祭2016(第56回県芸術祭)」で、伊豆市の2人が最高賞の芸術祭賞を受けた。広瀬神社権禰宜(ごんねぎ)・田方医師会参与の桜井寛治さん(66)=牧之郷=が文学部門文芸コンクールの評論で、刺しゅう工芸家の小沢ユミさん(52)=修善寺=が美術部門美術展の立体工芸で受賞した。

 桜井さんの題名は「酒井光好の歌がきこえる」。元下狩野村大平(現伊豆市大平)生まれの歌人・社会運動家の人生と歌を論じた。桜井さんは「酒井は運動家としても歌人としても一流ではない。しかしとてもロマンチックな人で、正直さやけなげさに心を打たれる。郷土にこのような人がいたことを、特に若い人に知ってほしい」と語る。

 毎年のように同芸術祭に出品し、受賞を重ねる桜井さん。08年度以来2回目の芸術祭賞受賞を「うれしかった」と喜び、「私は評論ではなく、評伝のつもりで書いている。酒井の歌と共に語り継いでいきたい」と語る。

 小沢さんの作品「彩(いろどり)の羽音」は、草木染の布と糸を使った着物。落ち着いた薄いもえぎ色の布の肩、袖、裾に鳥と花を刺しゅうした。小沢さんは「ハチドリの鮮やかな色と羽ばたきの躍動感を、刺しゅう糸の輝きや立体感で表現した」と話す。

 結婚を機に伊豆に移り住んだ小沢さん。現姓は勝野で、創作活動は旧姓で続けている。修善寺に工房を構え、三島や沼津でも教室を開いている。同芸術祭への出展は初めて。「びっくりした。今まで応援してくれたファンの人が喜んでくれてうれしい。続けてきて良かった」と受賞の感想を語る。

 芸術祭賞は合計12人・2団体が受賞した。伊豆地区は2人のほか、三島市の山田辰巳さんが美術部門写真展で受賞した。

 【写説】芸術祭の文学作品集「県民文芸」を手にする桜井さん

 【写説】受賞作「彩の羽音」の横に立つ小沢さん