建て替えられた慰霊塔の前で焼香する金刺区長=伊豆市熊坂の自得院

 ■熊坂区が落成式開き殉難者供養

 伊豆市熊坂の自得院内にある狩野川台風殉難者慰霊塔が、建立から50年以上が経過し老朽化したため、新しく建て替えられた。地元の熊坂区(金刺利夫区長)などは5日、改修落成式を同院で開催。子どもを含め身元不明者45人が眠る新しい慰霊塔完成を喜ぶと共に、二度とこのような水害が起きないことを願った。

 金刺区長と菊地豊市長、野田治久県議、遠藤正寿・市社会福祉協議会会長、同院総代長の原光一郎さんが除幕し、新しい慰霊塔がお披露目された。山本真人住職の読経の中、参列者が焼香した。

 災害経験者の西島万徳さん(87)による話もあった。西島さんは「上流からの流木や残骸が鉄橋の修善寺橋でダムのようにせき止められ、一気に狩野川が決壊した。通常の水害とは違い、身元不明者が多く出た。水死体は身内しか判別ができない状態だった」などと当時の様子を語った。

 慰霊塔は同台風から3年後の1961年、熊坂土地改良区により建立され、同院が管理・供養を行っている。同改良区はすでに解散したため、殉難者と最も縁が深い同区を主体に、老朽化した慰霊塔の改修を計画。市内外から寄せられた寄付と、市社協からの補助で建て替えた。金刺区長は「感謝の気持ちでいっぱい。狩野川台風以来、大きな水害は起きていない。殉難者が守ってくれたと思う」と語った。

 【写説】建て替えられた慰霊塔の前で焼香する金刺区長=伊豆市熊坂の自得院