江川家に残るレシピでパンを焼く石渡社長(左)ら=伊豆の国市韮山の江川邸

 ■秘蔵資料を特別公開

 伊豆の国市韮山の江川邸を管理する公益財団法人江川文庫は9日、「江川邸パンフェスタ」(伊豆日日新聞など後援)を開いた。日本で初めて兵糧パンを焼いたことから「パン祖」と呼ばれる江川英龍(坦庵)にちなんだ催し。江川家に残る英龍のレシピで焼いたパンの再現や秘蔵資料の特別公開などを実施した。

 パンの再現は、三島市芝本町のグルッペ石渡食品(石渡浩二社長)が協力し実演した。当時のレシピに基づき、小麦粉、塩、水とイースト菌の代わりになる酒種を使い、土間のかまどの上に載せた鉄鍋で焼いた。実際には、保存のために水分を飛ばす工程があることも説明した。

 各種イベントでレシピ再現に取り組む石渡社長は「坦庵を多くの人に知ってもらうため、今後もPRを続けていきたい」と話した。

 特別公開として「パン祖のレシピ」や「農兵隊列用の鼓譜」などを展示し、学芸員が説明。正門前では同市音頭保存会が「伊豆の国音頭」、無双直伝英信流静岡東部道場が居合道演武を披露した。同文庫学芸員の橋本敬之さんは「日本は外国の文化を取り入れ独自の文化をつくり上げてきた。パンの文化はここから広まったことを伝えたい」と語った。

 【写説】江川家に残るレシピでパンを焼く石渡社長(左)ら=伊豆の国市韮山の江川邸

 ■韮高生が鼓譜演奏

 江川邸パンフェスタで、県立韮山高の生徒9人が、農兵の隊列の動きを整えるために鼓笛隊が使用した「鼓譜」による演奏や試技を披露した。

 鼓譜は江川邸に保存されていたもので、近現代音楽史研究家で静岡文化芸術大教授の奥中康人さんの協力で、現代の譜面に直した。施設を管理する公益財団法人江川文庫が1月、江川英龍(坦庵)を学祖とする同校に協力を依頼した。

 生徒会、吹奏楽部、写真報道部の有志9人が参加。午前、午後の2回、1人が太鼓、8人が太鼓の合図に合わせて隊列の動きを再現する試技を繰り広げた。

 生徒会長の中谷大輝君(2年)は「鼓譜の半分しか披露することができなかったが、多くの人に見てもらって良かった」、太鼓を担当した吹奏楽部の小泉貴洋加さん(3年)は「今日は楽しく演奏できた。最後まで仕上げることができなかったのが少し残念」と話した。

 【写説】農兵の隊列の動きを再現する生徒たち=伊豆の国市韮山の江川邸