ご本尊の修理について片山部長(左)から説明を受ける吉野住職=京都市

 ■仏師・実慶の謎解明期待 運慶らと同格か

 伊豆市修善寺の修禅寺(吉野真常住職)のご本尊で、重要文化財に指定されている実慶作の「大日如来坐像」が、奈良県の円成寺にある運慶作の国宝「大日如来坐像」とほぼ同じ造りであることが分かった。実慶は発見された作品が少なく“幻の仏師”とも呼ばれているが、修禅寺護持会長の田口行央さんは「運慶や快慶と同格か、快慶より目上だったのではないか」と真相解明に期待を寄せる。

 ご本尊は6月から、京都市の公益財団法人美術院国宝修理所で33年ぶりの修復作業を受けている。作業がほぼ完了したため、吉野住職と田口さんはじめ寺関係者、同市と県の教育委員会職員計6人が2日に視察し、同修理所の片山毅養成部長から説明を受けた。

 作業は剥落した表面の金箔(きんぱく)や漆などの貼り直し、変色部分の修正、台座と光背の補強を行った。片山部長は、以前に同修理所で扱った円成寺の仏像と寄せ木造りの木取りの方法や寸法が一致したことから「同一の図面から造仏したと思われる」と報告した。快慶の作品は木取りの方法が異なるという。

 平安時代末期から江戸時代の仏師の一派「慶派」では、運慶や兄弟弟子の快慶、運慶の実弟子の湛慶らが知られている。しかし、運慶一派が観音経を写経した国宝「運慶願経」には、48人の結縁者が記載されており、快慶より先に実慶の名前があったため、研究者に注目されていた。1984年の修禅寺本尊の解体修復の際、胎内に実慶の名があり、新発見として話題を集めた。その後、函南町でも作品が発見された。

 実慶は運慶の弟子だったという説がある中、田口さんは「運慶に最も近い仏師ではないだろうか。幻の仏師と言われた実慶の研究が進めば、修禅寺本尊もさらに注目されるだろう」と私見を語る。

 本尊は今月末に戻り、11月から宝物館で一般公開する。例年は10日間だが、修理の報告を兼ねて1カ月間の公開を計画している。来年1月からは、神奈川県立金沢文庫での展示も決まっている。

 【写説】ご本尊の修理について片山部長(左)から説明を受ける吉野住職=京都市