運航会社の撤退が発表された駿河湾フェリー

 ■観光、防災へ影響懸念関係者に驚き、不安

 伊豆市の土肥港と静岡市の清水港を結ぶ駿河湾フェリーを運航するエスパルスドリームフェリー(本社・静岡市清水区、鈴木洋一社長)は25日、来年3月末で同フェリー事業から撤退すると発表した。燃料費やドック費用等の維持管理費を賄うだけの売り上げが確保できず、今後さらなる燃料費上昇も想定されることから決定した。観光、防災など多方面への影響が懸念され、関係者に驚きと不安が広がっている。

 同フェリーは2002年に田子の浦港から現在の航路に変更以来、16年間にわたり運航してきた。直近の17年8月期実績では年間17万3千人、乗用車2万9300台、バス2500台を運んだ。

 しかし、事業損益は05年8月期以降、赤字から脱却できず、累積損が膨らみ現在に至った。13年にはフェリーから眺めることができる富士山の世界遺産認定、航路の県道223号認定などの追い風があった一方、道路状況の改善や貸し切りバス料金のルール変更などが逆風となった。

 親会社の鈴与とも相談した結果、事業継続は困難だと判断した。同社は「伊豆と静岡の観光にとって必要不可欠な航路と十分認識しており、撤退は苦渋の選択だった。利用者や観光関係者の期待に応えることができず、深くおわび申し上げる」と発表した。清水港遊覧船事業、水上バス事業、運航受託事業は継続する。

 ■「発表は残念」 菊地・伊豆市長

 菊地豊・伊豆市長は「貴重な観光資源であると同時に、公共交通・生活航路であり、これまで維持存続に向け県や周辺自治体と連携して支援してきた。発表は残念で驚いている」、後藤一之・市観光協会土肥支部長は「観光客の避難や物資輸送など防災面への影響が心配。継続させるには具体的にどのような協力が必要か、県や市と話し合う」、野毛貴登・土肥温泉旅館協同組合理事長は「マイナスイメージが大きい。なぜ、ジオパーク世界認定や五輪・パラリンピック開催などがある今の時期に決定したかと驚いた」と話した。

 【写説】運航会社の撤退が発表された駿河湾フェリー