鹿による食害など天城山系の現状について意見交換したシンポジウム=伊豆市民文化ホール

 ■「鹿食害 林業にも」

 伊豆地区の16クラブが所属するライオンズクラブ国際協会334―C地区4R1Z・2Zは18日、講演会・シンポジウム「天城を仰いで」を伊豆市の市民文化ホールで開いた。環境大臣政務官を務める勝俣孝明衆院議員による基調講演とパネルディスカッションを実施。鹿による食害、登山道の崩壊、環境保全の遅れが深刻化する天城山系について、16クラブの共同事業として取り組んでいる天城山自然環境保全・地域活性化事業の必要性を再確認した。

 シンポジウムは、鹿による食害を中心に情報交換した。環境省自然公園指導員の土屋光示さんは「平成に入ったころから鹿が増え始めた。最新データでは伊豆半島に3万頭いると言われる。適正の10倍~15倍になっている」、前県山葵(わさび)組合連合会長の塩谷広次さんは「15年、20年ほど前から鹿がワサビも食べるようになった。ワサビ田をネットで囲っているが入ってくる」、田方森林組合長の岡田悦郎さんは「固いイメージの杉やヒノキの皮も食べる。そこから虫が入り、伐採すると市場に出せないこともある。農業だけではなく林業にも被害が出ている」と現状を説明した。

 自然再生士の山田健次さんは「国や県など行政主導で、モデルケースになるようなテストに取り組んでほしい」と要望。コーディネーターを務めた同省環境カウンセラーの塩谷和広さんは「鹿肉を食べることでうまくコントロールし、もっと減らせる可能性もある」と付け加えた。

 狩野川漁協事務局長の鈴木哲哉さんは「藻の一種・カワシオグサの繁殖、砂の堆積が最近の狩野川の課題」、赤沢漁業場長の石田允彦さんは「県内にある約50漁港のうち4分の3は伊豆半島で、天城山は伊豆の命の源。しかし、藻場が枯れてきている」と天城山系の状況変化が川、海へ及ぼす影響について話した。

 ■環境問題「経済再生“加速の鍵”」 勝俣衆院議員、国の取り組み紹介 

 勝俣衆院議員は「青い海、青い空は全てつながっている。天城山の問題は日本、世界の問題」と前置きし、環境問題全般について環境省の取り組みなどを紹介した。

 地球温暖化を一因とする気候変動については「現在の対策は、緩和と適応が車の両輪。環境問題というとブレーキのイメージが強いが、経済再生のアクセルというのが今の考え方」と話した。

 具体的には、海洋プラスチックごみ問題に対応した木製、紙製のストローを例に「現在は環境問題を考えない企業は認められない。市民一人一人も環境について考え、美しい地球を次世代に残すことが使命」とまとめた。

 【写説】鹿による食害など天城山系の現状について意見交換したシンポジウム=伊豆市民文化ホール

 【写説】基調講演する勝俣衆院議員