L1を想定して整備する防潮堤の高さをビニールシートを使って示す県下田土木事務所の担当者=東伊豆町稲取

 東伊豆町稲取の東区自主防災会は12日、稲取地区津波対策協議会で議論が続けられている防潮堤整備の現場説明会を開いた。自主防役員と区民約200人が県から事業案を聴き、強固な防潮堤整備を求めるなどした。

 稲取漁港に面した東区は約280世帯800人。南海トラフなどを震源とする地震では10メートル級の津波の襲来が想定され、地区の大半が浸水域となる。一方、相模トラフ地震の津波第1波到達時間は6分で、住民の多くが津波災害に強い危機感を持っているという。

 津波避難訓練に合わせて行った初の現場説明会では、県下田土木事務所の担当者が100年に1度の頻度で発生するレベル1の津波を想定した対策案を説明。ビニールシートを使って整備後の防潮堤の高さ、景観を示し、現状維持か、浸水を防ぐためのかさ上げかの複数案を紹介した。

 東日本大震災の教訓と、関東大震災など東区を過去の津波災害を伝え聞く住民からは「景観より命」「もっと防潮堤を高くできないか」といった意見、要望が相次いだ。主婦の上嶋静子さん(80)は「貴重な話を聴くことができてためになった。人の命を第一に整備を進めてほしい」と感想を語った。

 関係者によると、稲取地区協議会は観光・漁業関係者が景観、漁業への影響を理由に防潮堤のかさ上げに難色を示し、他地区に比べて議論は遅れ気味。同事務所は2017年度中に結論を得て事業着手したいとしている。

 【写説】L1を想定して整備する防潮堤の高さをビニールシートを使って示す県下田土木事務所の担当者=東伊豆町稲取