家族や支援者とともにバンザイする岡部氏(中央)=南伊豆町下賀茂の事務所前(30日午後8時32分撮影)

 ■投票率74・88%

 任期満了(5月14日)に伴う南伊豆町長選は30日、投開票が行われ新人の岡部克仁氏が(54)=二条=が643票差で、再選を目指す現職の梅本和熙氏(69)=下賀茂=を破り初当選した。町を二分する戦いとなったが、ムードはやや低調で投票率は2013年の前回選を2・27ポイント下回る74・88%だった。

 下賀茂の地熱発電や湊の広域ごみ処理施設、生涯活躍のまち(CCRC)、石廊崎再開発など、梅本氏が1期目で取り組んだ各種大型事業とその進め方が争点になった。

 岡部氏は「現在の町政が町民を向いていない」とし「町民ファースト」を掲げ、各種事業の見直しと一層の意見反映を訴えた。「現在は町議会や町民に十分な説明がないまま、各種事業が進んでいる。大学教授やコンサルタントがつくった計画ばかりだ」とし、全町的に批判票を集めた。重点施策に子育て支援を打ち出し、若年層からも支持を得た。

 梅本氏は人口の社会増など実績をPRし、2期目で「100年後の循環型社会を南伊豆でつくる」と町の将来像を訴えたが、及ばなかった。

 南伊豆町下賀茂の岡部氏の事務所では、午後8時20分すぎ「当確」の一報が入ると、待機していた多くの支持者から「やった!」「おめでとう」などの歓声と拍手が湧き、熱気に包まれた。

 岡部氏は支援者一人一人と固く抱き合い、喜びを爆発。マイクを握り「今までの人生の中で、こんなうれしいことはない。皆さんの勝利。あすから新たな気持ちで町と町民のために頑張る。みんなありがとう」と涙声で礼を述べた。

 吉沢昭後援会長は「皆さんの支えのおかげ。これからがまた大変。引き続きサポートしてほしい」と呼び掛けた。

 ■当選者の略歴

 岡部 克仁(おかべ・かつひと)54 無新(1) 内装業 前町議 町商工会監事 伊豆下田青色申告会理事 県立下田南高卒 二条

 ■梅本氏「町政岡部氏に託す」

 梅本氏は「4年間の成果が住民に評価されなかった。全て私の不徳のいたすところ。下田市や西伊豆町の首長選で現職が敗れていたこともあり、まさかとは思っていたがこのような結果になってしまった。今後の町政は岡部氏に託したい」と話した。さらに「皆さんには本当に苦労をかけた」と支持者らに深々と頭を下げた。

 ■期日前1.7%増加

 南伊豆町長選の期日前投票者数は合計で3114人で前回選に続き有効投票総数の過半数を超えた。前回選と比べ55人、1・7%増加した。当日有権者数に占める割合は前回選を2・4ポイント上回る41・8%だった。

 ■解説 まず大規模事業、再検討

 沼津市、西伊豆町に続き「負けるはずがない」と言われた現職が敗れた。背景には現町政への不信感があるとみられる。

 地熱発電や生涯活躍のまち(CCRC)、石廊崎再開発など大規模事業を梅本町政は進めてきた。岡部氏は「歴代町長でも屈指の仕事をこなした」と梅本氏を評価しながら「理解が得られないまま各種事業が進んでいる」と問題点を訴え支持を拡大。鈴木史鶴哉前町長の元後援会幹部や一部の旅館、若手有志が組織に集まり、4月5日の出馬表明から短期間で勝利した。

 岡部氏は重点施策に子育て支援を掲げるが、目立った産業振興策は同町に起源のある愛国米PRくらい。岡部氏は街頭演説で「町民の意識を改革し皆で考え進める町にしたい」と述べており、今後の町政運営が注目される。当面は公約で再検討を掲げた大規模事業のメリットとデメリットを目に見える形で示し、町民と意見を交わすことが求められる。

(勝田航平記者)

 ■きょう当選証書付与式

 南伊豆町長選と町議補選の当選証書付与式は1日午前10時から、町役場で行われる。

 【写説】家族や支援者とともにバンザイする岡部氏(中央)=南伊豆町下賀茂の事務所前(30日午後8時32分撮影)

 【図表】南伊豆町長選開票結果