当選から一夜明け抱負を語る岡部氏=南伊豆町役場

 ■643票差で新人勝利 住民との意思疎通を

 保守系無所属の一騎打ちとなった南伊豆町長選は新人・岡部克仁氏(54)=二条=が、再選を目指した現職・梅本和熙氏(69)=下賀茂=を破り初当選した。岡部氏は出馬表明から投開票まで20日余りで、地元二条の人口もわずか226人(4月1日現在)しかなかったが、現職批判票の受け皿として全町的に浸透。年明けから活動した梅本氏に、643票差で勝利した。

 梅本町政4年間への不満が噴出した選挙戦だった。岡部氏は梅本氏を「歴代町長の中でも屈指の仕事をした」と評価しながらも「理解が得られないまま各種事業を進めている」と指摘し支持を拡大した。

 梅本氏は地熱発電や共立湊病院跡地の生涯活躍のまち(CCRC)事業、健康福祉センター建設、石廊崎再開発など各種大規模事業を展開。人口の社会増を達成するなど実績を残した。一方で住民説明が多くの場面で不足し、特に地熱発電は地元の下賀茂区から根深い不信感があった。給食事業委託やごみ処理についても臆測や怪情報が飛び交った。

 西伊豆町長選に続き組織力のある現職が敗れた形だが、“勝手連”が動いた同町長選とは状況が違う。岡部氏陣営には2013年の前回選で落選した渡辺力氏や前町長鈴木史鶴哉氏の元後援会幹部、一部の旅館、革新系を含む約半数の町議、若手有志らが結集。梅本氏陣営には元町長岩田篤氏や経済団体幹部、約半数の町議が集まり町を二分した。岡部氏は「町をなんとかしたいと自分で出馬を決めた」というが、結果的に過去の対立軸をなぞる争いとなった。岡部氏は人事などについて「ノーサイドでやりたい。向こうが受けてくれるか分からないが協力したい」と融和を呼び掛ける。

 梅本氏は町民参加型町政を打ち出し4年間で35回のミニ集会を開いたが、十分だったとは言いがたい。岩田氏はかつて1年で30回、各地区へ足を運び町民と意見を交わしたという。岡部氏には一層丁寧な住民との意思疎通が求められる。

 ■地熱発電「白紙撤回含め再検討」 新町長・岡部氏が抱負語る 

 町を二分した南伊豆町長選の当選決定から一夜明けた1日、岡部克仁氏(54)は新町政への抱負を語り、人事などについて「ノーサイド」を呼び掛けた。「しこりが残らないと言えばうそになるが、プラスの方向に向けたい。町民のためになるようにしたい」と述べた。

 争点となった大規模事業では地熱発電について「白紙撤回を含め再検討する。下賀茂区17、18班や温泉組合などの関係者が全員同意すれば進める」と考えを示した。共立湊病院跡地の生涯活躍のまち(CCRC)事業は「地元で地域活性のためやりたいという声がある。よく話を聞きながら進めたい」、石廊崎再開発は「一日も早く完成を目指す。運営方式は地元の人へ、いかに利益を出すかを最優先に検討したい」、加納の東京都杉並区と連携した特別養護老人ホームは「成功へ町として全力を挙げてやりたい」とした。

 ■「課題着実」「政策実現を」 選管、新町長、町議に当選証書

 南伊豆町選挙管理委員会(菊池国昭委員長)は1日、町長選と町議補選(欠員1)の当選証書付与式を町役場で行った。初当選の岡部克仁氏と元職の谷正氏に、菊池委員長が証書を手渡した。

 菊池委員長はあいさつで岡部氏に「町民の期待は大きい。多くの課題を着実に実行してほしい」、谷氏に「2期8年間の経験を生かし、政策実現に尽力してほしい」と述べた。

 【写説】当選から一夜明け抱負を語る岡部氏=南伊豆町役場

 【写説】町議補選で当選し証書を受け取る谷氏(中央)=南伊豆町役場