県職員や協会のスタッフとともに、整備された森林を見学する渡辺さん(手前)=下田市田牛

 県の「森の力再生事業」で、一般社団法人日本自然環境保全協会(佐藤延男理事長)が下田市田牛の「青少年海の家」背後の山林を整備した。山林は海岸と集落の近くに位置し、標高約50メートルの稜線に至る作業歩道も整備した。大地震の際には津波避難の「命山」の役割を果たす。

 森の力整備事業は、所有者による整備が困難なために荒廃し、緊急に整備しなければ県民生活に支障を及ぼすおそれがある森林を整備。年間1人400円の森林(もり)づくり県民税が財源となっている。地権者、整備者、県が協定を結び、県が補助金を支出する。

 今回の整備面積は1・74ヘクタールで、地権者は6人。長期間放置されていた広葉樹林を50%間伐し、簡易作業歩道約600メートルを取り付けた。歩道沿いには間伐材を支柱にロープを張り、安全を確保した。

 1月20日に着手し、3月15日に完了した。事業費は約640万円。

 田牛地区では、夏の海水浴客に加え、毎年5~6月に延べ2千人以上の教育旅行団体が宿泊。地元住民と観光客の津波避難対策が課題。これまでは集落から裏山へ登る避難路が1カ所だけだった。

 同協会は、横浜市に本部を置き、下田市大賀茂に静岡支部(正司陽麻事務局長)がある。静岡支部の「森の力整備事業」は、下田市吉佐美や大賀茂などでの事業に続き6カ所目となる。

 地権者の一人、田牛の渡辺長夫さん(88)は「昔は炭焼きで時々伐採していたが、もう何十年も放置したままだった。年を取って作業できずにいたので本当にありがたい。津波避難にも役立ててほしい」と喜んでいた。

 【写説】県職員や協会のスタッフとともに、整備された森林を見学する渡辺さん(手前)=下田市田牛