港いっぱいの観客を前に11年ぶりの竜虎の対決を上演する小稲来宮会の若衆=南伊豆町小稲地区

 南伊豆町小稲地区に伝わる「小稲の虎舞」が2、3日の両日夜、小稲海岸で奉納上演された。今年は地元の小稲来宮会(竹内照裕会長)のほかに、隣の手石地区から助っ人を集め10メートル余りの巨大な竜を11年ぶりに出した。海岸は竜虎の対決が目当ての見物客で埋め尽くされた。

 来宮神社祭礼の舞踊劇で例年は中国の英雄・和藤内が虎を退治するが、今年は途中で虎が逃げた。和藤内を演じる土屋良太さんが「取り逃がして残念なり」と言って退場し、後から竜が登場した。

 竜は防波堤から現れた。地面に発煙筒を並べ頭には花火を付け煙をもうもうと上げながら、再び出てきた虎と戦った。虎を長い胴体で締め付け山側へ追いやった。

 竜は人口減少で上演が難しく「今年が最後」という声もある。上演を記録に残そうと町教育委員会が撮影したほか、遠方から演劇研究者が訪れた。成蹊大文学部の日比野啓教授は「伝統芸能だが演者が考えながら演じており、今も生きていると感じた。一方で演出は計算され神秘的だ。いいものを伝えている」と語った。

 【写説】港いっぱいの観客を前に11年ぶりの竜虎の対決を上演する小稲来宮会の若衆=南伊豆町小稲地区