塩漬けしたカツオを手際よく竹ざおにつるす芹沢さん=西伊豆町田子

 西伊豆町田子地区で、正月用の伝統保存食として知られる「潮(しお)かつお」作りが最盛期を迎えた。塩漬けしたカツオを伊豆西海岸特有の冬の西風に当てて乾燥させる昔ながらの製法で、竹ざおに連なるようにつるされた姿が、冬の風物詩となっている。

 「正月魚(しょうがつよ)」とも呼ばれる新年の縁起物で、保存食として作られるようになったのは江戸時代。豊漁豊作、子孫繁栄などを祈願してわらで飾り付け、三が日を過ぎると神棚や玄関先から下ろし、茶漬けや吸い物として振る舞う。

 このうち、古くから伝わる製法を続けるカネサ鰹節商店では正月に向けて重さ約3キロ、60センチほどのカツオ計500本を準備した。竹干しする前に内臓を取り出し、約10日ほど塩漬けした。12月中旬ごろに完成、出荷する。

 同店では地域連携を深めようと、初めて沼津市戸田の永盛丸と組んで太平洋で捕れた一本釣りカツオを仕入れた。芹沢安久副代表(49)は「おかげで鮮度や形の良いクオリティーの高い潮かつおを作ることができた。今後も地域の連携を深めながら、伊豆の特産を守っていきたい」と話した。

 ■潮かつおの民俗文化財指定承認 西伊豆町教委

 西伊豆町教育委員会は22日に定例会を開き、田子地区の「正月魚(しょうがつよ)」=潮かつお=を町指定民俗文化財(風俗慣習)として指定することを承認した。今回の指定で24件目となる。

 正月魚は、田子地区で昔から身近な食べ物として親しまれ、食されてきた。現在製造されているのは、全国でも田子地区のみとなっている。町教委は指定理由について、「漁師町として栄えてきた時代から、航海安全と豊漁豊作、子孫繁栄を祈願に供えられ、食されてきた伝統的な風習と食文化。歴史を後世に継承すべきと見解が一致した」としている。

 町指定文化財には猿っ子踊りや人形浄瑠璃の首と面、「岩谷戸の百八灯」などがある。

 【写説】塩漬けしたカツオを手際よく竹ざおにつるす芹沢さん=西伊豆町田子