支援者とともにバンザイする岸氏=河津町下峰の事務所(26日午後8時15分ごろ撮影)

 ■投票率71・98%

 河津町の住民投票による解職に伴う出直し町長選は26日、投開票が行われ、元副町長で無所属新人の岸重宏氏(67)が1354票の大差をつけ、無所属前職の相馬宏行氏(57)を破り初当選を果たした。有権者は町政の刷新、新たな町づくりを選択した。公職選挙法などの規定により岸氏は即日、就任した。任期は同日から4年間。投票率は71・98%で前々回(前回は無投票)を9・80ポイント下回った。

 住民投票で賛否が問われた子育て支援・文化・防災の町複合施設整備計画が白紙撤回されたことから、相馬町政の復活か刷新かが主な争点となった。

 解職請求(リコール)した住民組織で事務局長だった岸氏は「町民に分かりやすい政治の実現」を掲げ、37年間の行政経験を生かし情報公開を基礎にした町民参加の政治をアピールした。同世代の強い結束力を基に、真面目な人柄から女性支援者の動きも活発で、知名度不足の懸念を早々に打ち消して急速に支持を拡大させた。

 2期7年半務めた相馬氏は、解職を受けて政治姿勢に「町民との対話」などを掲げ、次世代につなぐ明るい町、笑顔で暮らせる町づくりに努めると訴えた。全23地区に置く後援会から活動を広げていったものの、住民投票で少なくなかった「町長を辞めさせたくはないが、施設には反対」した有権者の票を取り戻せなかったとみられる。

 ■「身の引き締まる思い」 岸氏

 午後8時すぎ、下峰の事務所に当確の一報が入ると、支援者の間から拍手と歓声が上がった。

 岸氏は支援者とバンザイを三唱し「大変うれしく身の引き締まる思い。皆さんの多大なご声援に感謝している。情報公開と町民参加のまちづくりを基本に、七つの公約の実現に全力で取り組んでいきます」と決意を語った。

 ■「一町民として町の力に」 相馬氏

 相馬氏は落選の報を受け「骨折りしてくれた方におわびを申すだけ」とし「今後は一町民として町の力になれればいい」と述べた。票差について「大変厳しい。町民への説明不足ということ」と振り返った。

 ■期日前 24.5%増

 河津町長選の期日前投票者数は、22~25日の4日間で2790人だった。前々回選に比べ549人、24・5%増加した。当日有権者数に占める割合は43・7%となった。

 ■きょう当選証書付与式

 河津町選挙管理委員会(高川千里委員長)は27日午前9時半から、町役場議場で町長選の当選証書付与式を行う。

 ■当選者の略歴

 岸 重宏氏(きし・しげひろ)67 無新(1) 下峰区役員 元副町長、元町総務課長、元町産業振興課長 中央大経済学部卒 峰

 ■住民の声、どう実現―解説

 河津町の複合施設整備計画に端を発した出直し町長選は、行政・議会・住民が一体となった「オール河津」の町づくり推進をするという岸重宏氏の圧勝となった。

 住民組織で事務局長を務め署名・投票運動を推進した岸氏は当初、政治的活動を否定し町議ら関係者からの出馬要請を固辞し続けたが、住民投票後「一般町民からの強い期待の声に心を動かされた」。その期待は日を追うごとに広がっていった。

 一方、相馬宏行氏は「住民投票結果を民意と受け止め」計画を白紙撤回、町民との対話を前面に打ち出し開かれた町づくりを強調したが、計画をかたくなに推し進めたイメージを覆せなかった。

 住民の声を聞く町政をどう実現させていくか、岸新町長の手腕が注目される。

(日吉典夫記者)

 【写説】支援者とともにバンザイする岸氏=河津町下峰の事務所(26日午後8時15分ごろ撮影)