サービス利用者の散髪をする沢路さん夫妻=下田市吉佐美

 ■外出困難な人を対象 「安全面の質向上実感」

 高齢や障害などで外出が難しい人を対象に行う訪問理美容サービス−。下田市一丁目で理容店を営む沢路雅芳さん(52)と妻のゆき枝さんは、賀茂地区で唯一、介護の基本技術・知識を身に付けた「ケア理容師」として同サービスに従事している。

 ケア理容師は、一般社団法人・シルバーサービス振興会と全国理容生活衛生同業組合連合会(全理連)が、訪問理容施術を安全・快適に行う狙いで2003年に設けた。約半年間の研修を通して、運動機能障害者への施術方法、高齢者・障害者の精神面の特徴や適切な対応など幅広い分野を学び試験に合格した理容師に与えられる。17年1月時点で県内の約50人が持つ。

 沢路夫妻が資格を取得したのは06年で、常連客が半身不随になり来店できなくなったのがきっかけだった。訪問理容をしたが健常者と全く違う対応が求められ、二人は「介護・医療面の知識が必要不可欠だ」と痛感。取得後は「障害者へのアプローチなども変わって安全面の質が向上し、利用者の負担が減った」と実感している。

 訪問理容に出向くのは年間120件ほど。医療用シャンプー台や専用チェアを持参して市内の病院や個人宅を回る。利用者からも好評で吉佐美の進士寿々代さん(85)は「年2回利用する。気持ち良いし、知り合いに髪形を褒められるとうれしいね」と笑った。

 国による在宅介護の推進に伴い、ケア理容師の必要性が高まっているが、資格取得者は増えていない。同振興会によると「理容師の高齢化による体力的な問題、受講による営業日の減少といった要因がある」という。

 雅芳さんは、泣いて喜んでくれた利用者がいたことに触れて「本当にうれしかった。だから続けている」と語り「ケア理容師の存在を知らない人が多い。今後、この仕事がもっと求められるはず。業界人として積極的にPRして多くの人の役に立ちたい」と話した。

 【写説】サービス利用者の散髪をする沢路さん夫妻=下田市吉佐美