1億3500万円の使途不明金が発覚した下田循環器・腎臓クリニック=下田市高馬

 ■30代事務長失踪、近く告訴 院長「真実語ってほしい」

 医療法人社団望洋会(伊東市和田、望月良望理事長)が運営する下田市高馬の「下田循環器・腎臓クリニック」(花房雄治院長)で昨秋、約1億3500万円に上る使途不明金が発覚し、直後に事情を知る30代の事務長が失踪した。同院は近く事務長を業務上横領の疑いで下田署に刑事告訴する。

 同院によると、事務長は2012年4月の開院以来、事務長を務め、経理を一手に任されていた。17年10月3日、経理に不自然な点があるため、理事長代理の事務局長と税理士が同院を訪れ、事務長に説明を求めた。事務長は「説明の準備をするため10分ほど時間がほしい」と退席し、この間に姿を消したという。

 およそ1カ月後に自転車を盗んだとして千葉県松戸署に身柄を拘束されたが、釈放後に身元引受人(母親)の元からいなくなり、現在も行方が分かっていない。

 使途不明金の大半は、外来診療で患者が窓口で支払う診療費。これらの現金収入は、出納帳に出入金を記載した上、院内の金庫で管理し、ある程度たまると同院名義の預金口座へ入金する仕組みになっていた。しかし、13年10月以降、口座に入金された形跡はなく、出納帳残高は急激に増加していった。

 この出納帳残高と金庫内現金残高の差額が1億3500万円に上る。

 同院担当の税理士は、帳簿上問題はなかったため、現金をチェックしていなかった。現金の所在について事務長は税理士の問いに「別の金庫があって、そこに保管してある」、花房院長の問いには「理事長の個人口座に入れてある」などと、その都度言い逃れしていたという。院内外に監査担当者は置いていなかった。

 ■相談受け内偵捜査 下田署

 同院から相談を受けた下田署は、内偵捜査を進めている。

 花房院長は「非常に多額であり、経営に影響が出始めている。汚れた金ではないか、脱税に関与しているのではないかなど、ありもしないことを言われ困っている。スタッフの士気がそがれ、患者にも迷惑を掛けている。まず事務長に出てきてもらい、真実を語ってもらいたい」と訴える。同院はホームページでも、事務長に関する情報提供を呼び掛けている。

 同法人は同院を中核に、いずれも伊東市内で横山病院、介護老人保健施設のぞみ、伊豆のさと診療所の計4施設を運営する。同院は人工透析も行っており、約130人の透析患者を抱えている。

 【写説】1億3500万円の使途不明金が発覚した下田循環器・腎臓クリニック=下田市高馬