蔵の中の仕事場でドールスタンドを作る永井さん=下田市須崎

 ■バイト、ネット販売で生計 

 下田市須崎の古民家に住む永井岳彦さん(57)・桂子さん(55)夫妻は、昨年6月に神奈川県小田原市から移住した。地元企業でアルバイトとして働く一方、ドールスタンド(人形立て)の製作、ネット販売で生計を立て、豊かな自然や地元の人々と触れ合いながら、下田暮らしを楽しんでいる。

 永井夫妻は、田舎暮らしに憧れ、休日に二人で南房総や西伊豆など各地を巡ったり、インターネットで物件を探した。

 ■岳彦さん ドールスタンド製作、古民家購入、漁師手伝いも、将来、漁業権取得を―豊かな自然「地域になじみたい」

こうして探し当てた須崎の古民家は、民宿や民家が密集する小白浜の一角に建つ。平屋の小さな住宅だが、別棟の石造りの蔵が気に入り、一昨年2月に購入した。

 当面は週末に別荘として利用し、定年後に移住する予定だった。岳彦さんは昨年5月、光学機器のエンジニアとして30年勤めた会社を退職。夫婦で夢の田舎暮らしを実現させた。

 岳彦さんは現在、下田ロープウェイで働き、月15日のアルバイトとして公園管理の仕事に従事する。「山頂は景色が抜群。樹木をせん定したり、花を育てたり、自然の中で働くことがこんなに楽しいとは…」と充実感を口にする。

 ドールスタンドのネットショップは、趣味が高じ11年前から副業として営み、「セレンズ」という店名で設計・製作・販売を手掛ける。静かな蔵が格好の仕事場だ。

 アルバイトが休みの日には、漁師の仕事を手伝う。伊勢エビの刺し網から、獲物を外したり、ごみを取り除いたりする作業に汗を流し、そのお礼に貝や魚など新鮮な海の幸を手に入れている。岳彦さんは小型船舶の1級免許を持っており、将来的には漁業権の取得を考えているという。

 下田は、趣味のアウトドアスポーツにも最適。近くの須崎遊歩道でトレイルランを楽しみ、アルバイト先まで自転車で通勤する。

 岳彦さんは「自然に恵まれ、サラリーマン時代のストレスから解放され、夢の生活を楽しんでいる。都会と異なり、ここは近所付き合いが濃い。地域の催しはもちろん、町内会の役員なども引き受け、なじんでいきたい」と目を輝かせる。

 今後、機械やパソコンの修理など“フリーランスエンジニア”として仕事の幅を広げるとともに、新たにシーカヤックに挑戦するなど、下田暮らしの夢は膨らむ。

 【写説】蔵の中の仕事場でドールスタンドを作る永井さん=下田市須崎