「美」や「美術館の楽しみ」を語る3氏=下田市民文化会館

 ■「飾らない美に魅力」 開催中企画展の見どころなど

下田市宇土金の上原美術館は30日、講演・座談会「伊豆をめぐる。美術館をたのしむ」を下田市民文化会館で開いた。同美術館の土森智典・主任学芸員、田島整・主任学芸員、静岡県立美術館の木下直之館長が、伊豆を巡りながら考えた「美とは何か」「美術館の楽しさ」を語った。

 開催中の企画展「美を旅する―静岡県立美術館のコレクションとともに―」の関連イベント。はじめにそれぞれ講演し、土森さんはジャンルを超えた企画展の趣旨や見どころを、田島さんは伊豆の仏像の魅力や価値を、木下さんは仏教美術と近代絵画の出合いについて解説した。

 続く座談会では、まず「美とは何か」について河津町谷津の南禅寺の仏像群を例に、意見を交わした。木下さんは「山崩れで地中に埋まっていた仏像を展示しており、傷みがひどく、顔や手のない仏像もある。それでもなお仏さまであり続けていることに感動した」と、ありのままの飾らない美の魅力を指摘。田島さんは「仏像を収める美術館(河津平安の仏像展示館)を建設する際、地元の方々といくつかの美術館を見学した。すると、地元の方々はガラスケースに入れると物みたいに見えて嫌だと言う。そこで、お堂のような展示館になった」とのエピソードを紹介した。

 「美術館の楽しさ」については、お経を巻物のまま縦に展示したり、その隣に関連する絵画を並べるなど、今回の企画展の試みに言及。土森さんは「巻物にある模様は、もともとボタンやシャクヤクが元と言われており、今回、速見御舟の『芍薬(しゃくやく)図』とルドンの『花瓶の花』を並べ、東西関係なく花でつながっていく世界を表現した」と説明。木下さんは「こうした試みを楽しめるのが美術館の一つの魅力。美術館に足を運ぶことによって映像では分からない大きさや質感が分かる。美術館は実物と向き合う場所であり、その作品を送り出してくれた人とも向き合える大切な場所」と述べた。

 企画展は5月20日まで。

 【写説】「美」や「美術館の楽しみ」を語る3氏=下田市民文化会館