感情を込めて紙芝居を披露する奥田さん(中央)=西伊豆町のみんなの家

 ■福祉の現場で注目 ケア主任・奥田さんが考案

 西伊豆町のデイサービス施設「みんなの家」は、レクリエーション活動で利用者が主人公として登場する「人生紙芝居」を披露している。互いを知り、認め合うことを尊重した活動は利用者職員に良い影響を与え、他の施設から注目を集めている。

 人生紙芝居は利用者の思い出や苦労話をまとめ、10枚ほどの紙芝居に仕立てる。同施設のケア主任奥田真美(54)さんが考案した。

 きっかけは10年ほど前。既製の紙芝居を披露したが利用者の反応がいま一つだった。ある日、昔話に花を咲かせる利用者たちを見て「利用者一人一人の人生を紙芝居にしたらどうだろう」と考えた。

 本人や家族に聞き取りし、それを紙芝居にまとめた。誕生会などで披露している。奥田さんは「その人が歩んできた人生を知ることで、利用者同士、そして利用者とスタッフとの理解が一歩進む」と魅力を語る。

 若くして結婚し、静岡市で50年間を過ごした女性の紙芝居のタイトルは「お帰りなさい」。奥田さんが感情を込めて子育てに奮闘する様子や夫の勤めていた会社が倒産した苦労話などを語った。紙芝居が終わると「結婚が早かったんだ」「大変だったね」などと、女性に声が掛かった。“主人公”の女性は「もう覚えてないよ」と答え、笑った。

 奥田さんは作り方のノウハウをまとめ「新しい回想レクリエーション『人生紙芝居』」(講談社)を出版した。県内外から問い合わせや講師の依頼などが舞い込み、福祉の現場で「人生紙芝居」は注目を集めている。

 「人生紙芝居で人生かみしめ合い」が合言葉。「誰かに人生を知ってもらい、認めてもらうことは大きな喜びとなる。終活ケアとして広く広めていきたい」と話した。

 【写説】感情を込めて紙芝居を披露する奥田さん(中央)=西伊豆町のみんなの家