ロシア人の墓に手を合わせる村上住職を撮影するカメラマン。左から2人目がナウーモヴァさん=下田市柿崎の玉泉寺

 今秋の「日ロ交流モスクワ写真展」に向け、日ロ友好交流の原点である下田、沼津(戸田)、富士の3市を舞台に、ロシア人カメラマンとスタッフによる取材が行われている。17日に下田入りし、ディアナ号の乗組員ら4人のロシア人が眠る玉泉寺や、日露和親条約が結ばれた長楽寺などを撮影した。

 同写真展は11月16~30日、モスクワ市で開催される。幕末に来航したプチャーチン提督率いるディアナ号ゆかりの下田市、沼津市、富士市の歴史と現代の人々の暮らしを写真で紹介する。

 主催は日ロ有志でつくる「日ロ交流モスクワ写真展友好会」。その中心は、日ロの音楽交流事業や日本の文化伝統工芸の紹介に携わるロシア人女性実業家タチアーナ・ナウーモヴァさん(48)。

 ナウーモヴァさんは、「戸田港まつり」(今年は7月21日)を見学し、ディアナ号の乗組員2人が眠る宝泉寺で、今も盛大な慰霊祭が営まれていることに感激。「この素晴らしい日ロ友好の歴史を多くのロシア人に知ってほしい」と写真展を企画した。

 昨年の「戸田港まつり」では、仮装パレードに使用するプチャーチン提督、士官、水兵の衣装を製作し、戸田観光協会に寄贈した。ロシア人歴史家による時代考証に基づき、160年前の衣装を再現した、と話題になった。

 17日に玉泉寺を訪ねたナウーモヴァさんは、高台に建つロシア人4人(ディアナ号3人、アスコルド号1人)の墓を前に「なぜ、これほど立派なのか」と質問。村上文樹住職から「遠い異国で亡くなり、帰りたくても帰れなかった(遺体を搬送できなかった)当時の状況から、立派なお墓を建てた。お墓はロシアの方角を向いています」と説明を受け「日本の人々は温かい」と感激していた。

 撮影は15日に富士市で始まり、戸田を最後に21日まで行われる。同写真展の図録を発行する予定で、1冊2千円の寄付金で頒布する。問い合わせは友好会事務局〈電03(3280)6531〉へ。

 ■ディアナ号を巡る日ロ交流の歴史 

 1854年11月、安政大地震が発生。日ロ交渉のため下田港に停泊していたディアナ号は大津波で大破。大砲の下敷きになり死亡した乗組員もいたが、プチャーチンは軍医を上陸させ、日本側に治療を申し出た。ディアナ号は修理のため戸田へ回航中、暴風雨に遭い富士沖で沈没。地元漁民が乗組員を救出し、戸田で代船「へだ号」を建造した。

 【写説】ロシア人の墓に手を合わせる村上住職を撮影するカメラマン。左から2人目がナウーモヴァさん=下田市柿崎の玉泉寺