名物のガマガエルが絶滅の危機にある慈雲寺。境内にはカエルの置物が多数置かれている=南伊豆町下賀茂

 南伊豆町下賀茂の慈雲寺で、名物のガマガエル(ヒキガエル)が絶滅の危機に陥っている。400年前からガマの報恩伝説が残る同寺は通称「ガマ寺」と呼ばれる。かつて境内中をガマが闊歩(かっぽ)したが、鳥害などで近年急激に減少し今年は成体が3匹しか確認されなかった。事態を重く見た檀家(だんか)役員は復活に向け、近隣からの移入を検討し始めた。

 本堂裏の約20平方メートルの池を繁殖地に、かつて境内にはガマがあふれていた。6月ごろになると毎年数十匹が歩きまわり、夜は大合唱が聞こえたという。

 寺で生まれ育った渡辺慎哉住職(71)はガマの急減を「これまでにない」と嘆く。「20年ほど前から漸減したが、ここ2~3年はまるで見ない」と語る。

 妻の真澄さんは減少理由をサギの食害と推測する。「ガマ産卵後の早朝にサギが池に現れオタマジャクシが急減する。ネットを張ったら隙間から入ってきた」と話す。

 見かねた檀家衆は7月中旬、近隣でガマを捕穫し境内に放すことを提案した。副総代の渡辺国男さんは「近くの石切り場にいたが、それも減った。どこかいい場所はないか」、総代の渡辺守男さんは「ガマは寺になくてはならない。檀家衆に捕穫を募り増やすしかない」と決意を述べた。

 寺には“池に住み着いたガマが和尚の読経で人間になり袈裟を贈った”という伝説があり、袈裟は現存する。境内にはガマの石像が多数置かれている。

 【写説】名物のガマガエルが絶滅の危機にある慈雲寺。境内にはカエルの置物が多数置かれている=南伊豆町下賀茂