三宝保育園で過ごす白鳥春斗君=東伊豆町稲取(5月11日撮影)

 ■病院で家主治療 住宅、小屋2棟全焼 

 1日午後11時20分ごろ、東伊豆町奈良本745の89、白鳥広己さん(60)方から出火し、近所の住人から「隣の家が燃えている」と119番通報があった。下田署と駿東伊豆消防本部によると、木造平屋建ての住宅と近くの小屋2棟の計約70平方メートルを全焼し約1時間後に鎮火、焼け跡から4人の遺体が発見された。白鳥さんは脱出したが、煙を吸うなどしたため病院に運ばれ治療を受けているという。

 同署の発表や白鳥さん一家を知る人の話を総合すると、白鳥さんは5人暮らし。遺体は、連絡が取れなくなっている白鳥さんの妻トシミさん(53)、長男宏樹さん(29)、次男トシキさん(28)、長男の息子春斗(しゅんと)君(5)とみられ、屋内の別々の場所から発見されたという。妻と次男の漢字は確認されていない。

 宏樹さんは奈良本の福祉施設に勤務する介護職員、息子は稲取の三宝保育園に通っている。

 同署によると、住宅は4畳半2部屋と台所付き6畳の居間の3部屋で、焼失が激しいことから居間が出火元の可能性が高いという。出火当時、白鳥さんとトシミさんが一方の4畳半の部屋、宏樹さんと春斗君とトシキさんがもう一方の4畳半の部屋で就寝中だったとみられる。白鳥さんは煙に気付き逃げることができた。

 同署が遺体の身元確認と出火原因を調べている。

 ■「外に出たら大きな火柱」 近所の中学生が写真撮影

 火災当時、現場では爆発音のようなものが響いたという。近くに住む伊藤翔富君(熱川中2年)はゲームをしていたが「燃えたり爆発したりする音で気付いた」「外に出たら大きな火柱が上がっていて写真を撮った」と話す。「爆発音は10回くらい聞こえた」と振り返る。

 現場は住宅と畑が密集し、図書館や学校が近い静かな地区。近所の50代男性は「9時ごろには皆寝ている。こんなことが起きると思わなかった」と深夜の惨事に動揺を隠せなかった。

 男性によると白鳥家は犬や猫を飼っていたという。「休日に家族がペットと遊んでいる姿をよく見た。バーベキューなどもして仲が良さそうだった」と振り返った。

 ■「小学校入学楽しみに」 春斗君通う保育園園長

 白鳥春斗君(5)は、東伊豆町稲取の私立三宝保育園に2歳半から通っている。加藤淳香園長(56)は「来年小学校に上がる予定で、1年生になるのを楽しみにしていたのに…」と言葉を詰まらせた。

 加藤園長によると、春斗君はおとなしく内気だが、電車遊びやパズル、サッカーが好きで皆と仲が良く、愛される子。父親や祖父が送り迎え、父親が弁当を作るなど熱心に子育てする「一家そろって心の優しい家族」という。

 加藤園長は、2日朝に他の保護者から連絡を受け火事を知った。「ただ驚き、信じられない。(連絡が取れないことに)悲しい気持ちでいっぱい」と涙を流した。

 ■「真面目で温厚」 宏樹さん職場の同僚

 宏樹さん(29)が働く福祉施設の同僚は「真面目で温厚、この仕事に向いている人。年2回の慰労会に息子さんを連れて来ていて、とても大事にしているのが分かった」と話し「(連絡が取れないと聞いて)取り乱し泣きだす職員もいた」と沈痛な表情で語った。

 【写説】住宅街で近隣の屋根を超えて燃え上がる炎=東伊豆町奈良本(1日午後11時半ごろ、伊藤翔富君撮影)

 【写説】三宝保育園で過ごす白鳥春斗君=東伊豆町稲取(5月11日撮影)