地元住民のトラックの荷台にサンマを積む乗組員たち=西伊豆町安良里

 ■破格値9トンに笑顔 

 西伊豆町安良里の豊幸漁業(藤井茂行社長)が所有する県内唯一のサンマ漁船第135豊幸丸(147トン)が31日、安良里漁港に一時帰港した。恒例の「サンマ売り」を行い、安良里漁港は早朝から多くの地域住民でにぎわった。

 豊幸丸は8月16日に同漁港を出発し、北方四島沖から南下しながらサンマを追った。藤井晴正船頭によると、今年は豊漁だが例年より遠方で漁を行ったため水揚げに時間が掛かり、大きく漁獲量が増えることはなかった。

 北海道胆振東部地震発生時は漁に出ていたため船と乗組員に被害はなかった。発生から数日後に釧路港に入港。買い出しに町へ向かったが、食料がほとんどなかったという。藤井船頭は「次の漁の準備で乗組員16人、1週間分の食料を集めるのは大変だった」と当時を振り返った。

 乗組員の休暇を目的に、故郷へ一時帰港した。「サンマ売り」には約9トンを用意。地域住民は籠などを持参し、1キロ170円という破格のサンマを受け取ると笑顔を見せた。

 茂行社長によると、サンマ売りは同漁港で多くのサンマ漁船が操業していたころに始まった。漁船を降りた乗組員たちには本人や家族用に「おかず分け」としてサンマが配られた。それを見た住民が「売ってほしい」と申し出たことが始まりという。以来、秋の風物詩となった。藤井船頭は「楽しみにしてくれている住民は多い。期待に応えることができて良かった」と話した。同船は1日か2日に再び出港し、11月末ごろ帰港する予定という。

 【写説】地元住民のトラックの荷台にサンマを積む乗組員たち=西伊豆町安良里