ふん尿や鳴き声など厄介者の野良猫が近年、賀茂地区で減少傾向にある。行政の不妊・去勢手術費の補助制度がボランティア団体の活動を後押しし、県賀茂保健所が本年度引き取った猫は、数匹にとどまっている。補助制度は既存3市町に加え、残り3町が新年度に設ける予定で、今後さらなる効果が期待される。

 県下田保健所によると、管内の猫引き取り数は2013年度226匹、14年度196匹、15年度149匹、16年度160匹、17年度46匹と減少傾向を示す。

 13年の動物愛護法の改正により、飼い猫の引き取りを拒否できるようになったことや、動物愛護ボランティア団体の不妊・去勢手術の取り組みによる効果という。

 行政の補助制度は、賀茂地区が県内で最も遅れていたが、17年度に南伊豆町でスタート、本年度に下田市と西伊豆町が続き、新年度に松崎町、河津町、東伊豆町で設ける予定という。

 下田市の本年度の補助申請は、これまでに101件(匹)に及ぶ。当初予算に40匹分の予算を計上したが、市議会12月定例会に続き、3月定例会でも増額補正する。

 同市の補助制度は、飼い主のいない野良猫を対象とし、雌の不妊手術の場合は1匹1万円を限度に費用の2分の1以内、雄の去勢手術の場合は1匹6千円を限度に費用の2分の1以内としている。

 野良猫を対象としているため、個人や団体に対する数の制限はなく、申請の9割以上は野良猫の繁殖抑止活動に取り組むボランティア団体という。

 手術費用は、避妊が1万5千円~3万円、去勢は1~2万円が相場とされる。

 ■気候暖かく繁殖しやすい

 野良猫対策は、どの自治体も頭を痛めている。特に伊豆地域は気候が暖かく、寝ぐらや餌も確保しやすいことから、野良猫が繁殖しやすい環境といわれる。野良猫はふん尿や鳴き声に加え、生ごみを荒らしたり、畑や花壇の土を掘り返すなど、周囲に迷惑を及ぼしている。

 野良猫の増加は、飼い猫が産んだ子猫を飼いきれずに捨てたり、「お腹をすかしてかわいそうだから」と安易に餌を与えるなど、住民の意識の低さが指摘されている。

 猫は1年に2、3回の出産が可能。1度に5、6匹出産するため、1年で15匹以上に増える可能性があるという。

 この5年間で約560匹の野良猫の手術を施したボランティア団体「ねこサポ」の安藤香蓮代表は「5年前には地域で300匹以上の猫が殺処分されていました。寄付金や理解ある動物病院の協力に加え、行政の補助制度を活用し、不幸な野良猫を1匹でも減らしていきたい」と話している。