将棋は駒を並べて動かせる程度だが、アマの有段者に相手をしてもらったことがある。当然のことながら簡単に負けた。「こんなに少ない手数で詰むことが可能なんだ」と妙なことに感心した。同時に相手の強さを実感した

 ▼将棋といえば昨年、トップ棋士が対局中にスマートフォンを不正に使用したのでは、という疑惑が持ち上がり話題になった。近年はプロを負かすようなソフトも出てきた。定石を超える指し手を見つけようと研究に使うプロもいるという

 ▼時速300キロを出せるピッチングマシンがあるそうだが、プロ野球の投手とどちらが上かという声は出ない。将棋も同じで、ファンが見たいのは、棋士が全力で戦う姿であるはずだ

 ▼名人、永世棋聖で日本将棋連盟会長を務めた故米長邦雄さんは「兄たちは頭が悪いから東大へ行った。自分は頭が良いから将棋指しになった」と言ったとされる。将棋はそれだけ才能のある人の集まり。原則、奨励会に入り、厳しい競争を勝ち抜き26歳までに四段にならなければプロになれない

 ▼東伊豆町生まれで伊東市ゆかりの八代弥六段は今年、朝日杯将棋オープン戦に歴代最年少で優勝した。伊豆の将棋ファンは自らの対局以外の楽しみもある。