「行司 伊豆熱海之湯」―。熱海市が市制80周年記念で刊行した「熱海温泉誌」に江戸時代に始まったとされる温泉番付が紹介されている。熱海は番付を仕切る行司という格上扱いであったことが興味深い

 ▼同誌にある現代版ランキングを見ると、宿泊客数は1984年以降箱根が1位で、熱海は2~4位。入湯客数では熱海が84年に410万人で1位だったが、その後2~4位に後退し、箱根がトップに君臨している

 ▼意外だったのは旅行・観光業界が選ぶランキング。熱海は87年以降12位が最高で、直近の2015年は33位に沈んでいる。一方、旅行サイト利用者の最新人気ランキングは、箱根を強羅と湯本に分けたA社で熱海は1位。そのほか別府、草津、那須温泉郷などが並んだ

 ▼“プロ”の評価は低迷する熱海だが、利用者人気はトップクラス。送客サイドの思惑を越えて利用者が旅先に熱海を選んでいることを示しているようで面白い

 ▼歴史、ブランド力、人気などで箱根にひけをとらないにもかかわらず、宿泊客数は約半分と大きく水を開けられているのが現状。箱根にあって熱海にないもの、熱海の弱みと強みを詳細に分析することで今後の観光戦略の一端が見えてくるかもしれない。