〈よきことのあれと願ひて待つ日の出ゆらりとあがる洋(うみ)よりあがる〉

 黒田つな子さん(83)が初めて編んだ歌集「花をたづさへ」の最初の作品である。生まれ育った河津町浜からの光景だろうか。

 〈膝小僧に擦り傷をせし腕白(わんぱく)君顔をしかめて駆け寄りてくる〉

 町内の幼稚園教諭を36年間務めた。その他の日常詠も温かな目差しが感じられる。

 黒田さんは「一冊にまとめるのは作者にとってとても重みがある。もう少し早くに出せば良かった。すごくエネルギーが必要だったので」と笑う。

 歌集の締めくくりは〈水仙の姿勢のやうにすつきりと歩みゆきたし八十歳代を〉だった。(日)