朝早く伊豆の国市の狩野川の堤防を散歩している時、足元に小さな緑色のカエルがいるのに気付いた。足を止めて辺りをよく見たら、何匹もの小さなカエルが川に向かってピョン、ピョンと跳ねていた

 ▼堤防の近くに水田があるので、そこで生まれたのだろう。散歩中に目にしたのはゴール目前の姿だった。テレビ番組の人気企画“24時間マラソン”だったら、大きな拍手と合唱で迎えられる感動の場面だ

 ▼水田は堤防に近いとはいえ、100メートル以上離れている。日差しの下では干からびてしまうから、日が落ちるのを待って一晩かけて川を目指したのか。小さな体で暗い道をピョン、ピョンと進む姿を想像したら、カエルがとても健気に思えた

 ▼この健気という表現は、海中写真家の伊藤勝敏さんから教わった。海に潜っていて、捨てられた空き缶をすみかにする2匹のハゼを目にした時にそう感じたのだという

 ▼「環境が悪化する中、一生懸命に生きている魚たちの姿はとにかく健気」―。優しいまなざしで海の生き物を見つめ続ける伊藤さんの写真展「素顔の海」が10月10日まで、伊東市の池田20世紀美術館で開かれている。2匹のハゼの写真は「廃物だってマイホーム」のコーナーにある。